投資と読書と平凡サラリーマンの私。

読書とランニングと投資を行う平凡な社会人のブログ

【書籍】「三島由紀夫スポーツ論集」佐藤秀明 編

<所感>

スポーツ観戦記でさえも「三島文学」となることが新鮮であり驚愕する。

三島作品は10代に読み漁ったが、その時に感じた華美ではないが美しい修飾句が散りばめられている。

 

肉体的コンプレックスの払拭のために三島がボディビルに傾倒していたことは知っていたが、剣道にも手を出していたことは知らなかった。

 

精神と肉体の両立は三島の人生の大きなテーマではあり、その思いは深淵ではある。しかし個人的にも体を鍛えること・トレーニングをすることの重要性は感じる。

脳科学的にも運動の重要性は確認されている。

 

最終章の「太陽と鉄」は「仮面の告白」のような性質をもつ作品。三島が自己を俯瞰的に省みて批評し、文章に落とし込む。それがどうしてこうまでに心に突き刺さるのだろうか。

 

<内容>

Ⅰ 東京オリンピックの観戦記

Ⅱ ボディビルや剣道などのスポーツについて

Ⅲ 主にボクシングの観戦記

Ⅳ 「太陽と鉄」

【書籍】「ザ・ディベート~自己責任時代の思考・表現技術」

 

<所感>

ディベートの目的は相手を理屈で打ち負かすことは無く、客観的なものの見方を養うこと。そのためにも自分の意見とは立場が異なる意見を聞くことは大事で、まさに、傾聴である。

この結果、建設的・合理的な意思決定、問題解決、心理研究ができる。

 

ディベートは大きく3つの論題があり、①事実、②価値(価値観)、③政策に関するもの。仕事上の問題解決で使うディベートは③の政ディベート

 

③政策の問題解決のおいてのポイントは、問題の重要性、因果関係の有無、政策の実行可能性、生じるメリットとデメリットの比較すること。

 

①事実、②価値(価値観)は競技的なディベートになる。訓練にはいいが、あくまでも訓練ととらえる。

 

 

<目次>

第1章 思考・表現技術としてのディベート

第2章 調査技術としてのディベート

第3章 コミュニケーション技術としてのディベート

第4章 問題解決技術としてのディベート

第5章 ディベートを社会に活かす

【書籍】「イノベーションへの解 実践編」スコット・アンソニーら

イノベーションへの解 実践編」スコット・アンソニー

 

<所感>

2020年に亡くなった「イノベーションのジレンマ」で有名なクリステンセン教授が唱えた破壊的イノベーションの理論を実践するための必要事項が書かれている。この手の本は、結局試してみてナンボであり、行動無しでは読む意味がない。ほとんどの企業で働く社会人に参考となる点があるはずの良書中の良書。

 

  1. 定義

破壊的イノベーション…「必要にして十分」な性能を再定義して新しい市場を造ること。対義語:持続的イノベーション…既存技術の性能の向上で成長すること。

 

  1. 破壊的イノベの重要な心得とステップ

・品質は相対的…絶対的によい品質はない。品質のよさは場合によるもの。

・破壊的イノベを行うタイミング…それをする必要が無い、まさにその時。

・「(顧客)は(状況)において(問題)を解決したがっている」この文を埋める。さらに、(状況)の背景を深掘る。その目的は?解決策の制限する障害は?

 

3.チーム結成と運営

・メンバーには今後直面する可能性の高い課題を経験した人を選ぶ。

経験の例:曖昧さへの対応、ジュ分な資源が無い環境下での業務采井、実行型の実証。

・問題解決者は少ないが、評論家は多い。「一言言いたい」への返答「それが問題である点はわかっている。わからないのはその答え。何か提案はある?」

・評価はインプット、プロセス、アウトプットの3軸で。

 

<目次>

はじめに 成長達成の指針

第一章イノベーションの前提条件

第一部 機会の識別…第二章「非消費者」の識別、第三章 過剰満足状態の顧客の識別、第四章 「片づけるべき用事」の識別

第二部 アイデアの公式化と具体化…第五章 破壊的アイデアの開発、第六章 戦略のパターン適合性評価

第三部 事業の構築…第七章 創発的戦略をマスターする、第八章 プロジェクト・チームの結成と管理

第四部 組織能力の構築…第九章 イノベーションのための組織構造、第十章 イノベーションの評価指標

第十一章 結論

 

 

【投資】社員持ち株制度から卒業する

今の勤務先には持株制度がある。

「購入時に10%補助」に目がくらみ、ここ数年、毎月+ボーナス時期に積み立て購入をしていた。しかし、現在、売却中。

 

理由①:今の勤務先はザ・ジャパニーズ企業かつ業界的に急激な成長が見込めない

理由②:そもそも勤務と言う労働資本を100%投資している状態。よって、それ以外は分散したい。

理由③:持ち株は株の引き出しに時間がかかる等、諸手続きが面倒。

 

とりあえず自社株をざっくりと証券口座に移動させ、段階的に売却中。

得た資金はVTI等のETFにあてる予定。

トマ・ピケティの式から考える詐欺対策

21世紀の資本」でおなじみのトマ・ピケティ先生の有名な公式:

「r > g」

r:資本収益率、g:経済成長率

 

つまり、労働よりも資産運用の方が富が増大するという意味。

 

この式に、過去のS&P500の平均成長率を考慮すると、式はこうなる:

「10% > r > g」*

つまり、資産運用のリターンは最大年利10%が目安という意味。

 

言いかえると年利10%以上のリターンを持ちかけるオイシイ話は間違いなく詐欺。

まして月利10%のいい話とか、ありえない。そんなものがあれば自分で運用するでしょ。

詐欺から身を守るためにも、「10% > r > g」の式は義務教育で教えて欲しい。

 

*もちろんパフォーマンスがめちゃ高い一部の投資家には適用外。

 

【書籍】「サヨナライツカ」辻仁成

<所感>

10数年ぶりに再読。

婚約者(後の妻)のいる好青年がタイで出会った女性とひたすら逢瀬を重ねる前半。

25年後に再会し、当時は言えなかった気持ちを確認しあい、そして永遠の別れが結論の後半。

 

女性目線、特に青年の妻の立場では、三流文学と評されるであろう内容。

しかし男性諸君は何か感じるものがあるのでは。特に青年を過ぎた世代にとっては。

なんだかずっと前の、遠い日の花火を見たような、そんな気持ちになる。

 

そしてやっぱり病の記述は卑怯である。その描写はそれだけで泣ける。再読でも涙が不可避であった。

【書籍】「議論の掟 議論が苦手な日本人のために」白川司

<所感>

良書。日本語の特性を学び、それを踏まえ日本語の枠を乗り越えることの必要性を説く本。

日本人は議論が苦手、論理的でないとい言われる所以は日本語の特性にある。

 

特性のひとつは終助詞(…です。…ですね。…ですよ。…ですか。)

議論では相手の意見に賛成か反対かを明確にする必要がある。その一方で、終助詞を使うと自分の立場をぼかいやすく、結果として責任の所在が曖昧になりやすい。

例えば疑問文であれば、日本語は判断委託、英語は回答要求が主となる。

 

また、日本式の会議は議論をする場ではなく、コンセンサスを取る場や情報共有の場になっていることも原因の一つ。

解消方法は議論において「目標の単純化、言葉の簡素化、意見の情報化をする」そして、「いっそ英語を使用する」。

 

個人的には前者と後者はニアリーイコールであると感じる。大多数の人が日本語が母語である場であれば、英語での議論する際にはどうしても言葉に制約がある。制約があれば、必然的に前者が達成されると考える。

議論でなくてもビジネスではメールでも然り。論点が不明または冗長的なメールは英語で推敲するとよいと思う。

 

ちなみに著者の主張は英語礼賛ではなく、あくまでも日本語の特性を知り、「議論」という場においては、その特性を乗り越えることが必要というもの。その点は同意。

 

<目次>

第1章 議論が苦手な日本人——年功序列と発言権

第2章 「寒いね」が通じない——日本語と英語の断絶

第3章 「わからせる」と「察してもらう」——欧米型議論と日本型議論

第4章 なぜ会議が機能しないのか——日本型議論の功罪

第5章 会議を変える——新しい議論のかたち

おわりに——国際化に立ち向かう「言葉の力」