「神話と意味」クロード・レヴィ=ストロース
<所感>
矛盾点を凌駕する一つ上のレイヤーで物事をとらえることが弁証法のアプローチ。
著者は神話研究にこのアプローチを当てはめて、そこに意味を与えた。
曰く「外見上の相違点に不変の要素を追求する」。
これが構造主義。
17世紀の「科学」の出現後に、構造主義に基づいた神話研究で神話の重要性に光をあてたことは驚くべきことだ。
神話を迷信として一瞥することは簡単である。
ただし神話の物語が世界中で反復して現れる(もちろんそこに違いはある)ことを忘れてはいけない。
自分の故郷の神話はどこまで知っているだろう?
イギリスの歴史学者トインビーの言葉「自国の歴史を忘れた民族は滅びる」は重い。
余談。
著者の母語はフランス語。しかし本書は著者が英語で話した内容が元となっている。
そんな言語的な制約がある&口語ということで分かりやすい内容。
言語的制約は文章に簡便さを与えるという好例。
<目次>
まえおき
1 神話と科学の出会い
2“未開”思考と“文明”心性
3 兎唇と双生児——ある神話の裂け目
4 神話が歴史になるとき
5 神話と音楽