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【書籍】「東京大田区・弁当屋のすごい経営」菅原勇一郎

「日替わり弁当のみで年商70億円スタンフォード大学MBAの教材に 東京大田区弁当屋のすごい経営」菅原勇一郎

 

<所感>

都内でよく目にする日替わりの弁当「玉子屋」の話。

2018年11月発刊。

 

数字で見る玉子屋は恐ろしい。

1個450円、1種類、原価率53%、廃棄率0.1%。

配達数1997年で1日2万食、2018年(本書発刊時)では1日7万食!

 

20代の終わりの4年は平日の昼は玉子屋ばかり食べていた。

オフィスに届くからすぐに食べることができる。サクッと食べて昼寝。

昼はこんな風に過ごしていた。懐かしい。

 

本書は2代目社長が玉子屋の良さは改善しつつ、業容拡大を図るという内容。

とにかくポイントは「人」である。

 

まずは父親である先代の社長。息子にさっと事業を継承して自分は身を引く。自ら創業した会社にしがみつくことのない潔さ。

創業者が残ると「船頭多くして船山に上る」状態が発生しがちだが、見事に回避されている。

 

次は従業員。玉子屋の従業員は大半が地元の札付きの子。彼らを雇用し、能力主義の下で彼らは切磋琢磨する人間となる。尚、このような組織を形成のためには平等なシステムではなく、公平なシステムが必要と説かれている。

 

本書は2018年11月発刊。コロナ禍の前。

コロナ禍以降では都内は在宅ワークが進んでいるはずだ。

玉子屋の「オフィスに弁当を宅配する」というビジネスモデルにどんな影響がでているのだろうか。

一人の玉子屋ファンとしてとても気掛かりである。

 

<目次>

1章 中小企業の事業承継は先代が元気なうちに

2章 数字で語る玉子屋

3章 嫌いだった弁当屋を継いだ理由

4章 社員の心に火を灯せ

5章 玉子屋の未来

【書籍】「最強のスポーツビジネス」池田純

*本書は2017年度に「ナンバー・スポーツビジネス・カレッジ」第一期で行われた講義が抜粋・再構成されたもの。

 

<所感>

印象的なのは井上康生の章。 

「最強かつ最高選手の育成」という目的を掲げ、そのためには「柔よく剛を制す」ではなく「重剛一体」を掲げて技術と体力の両方に重きを置くという効果的な手段がと取られている点が印象深い。

とかく目的と手段は混合しがちである。

しかし今回の井上 柔道全日本男子監督における目的と手段の成果は東京五輪を見れば明らか。

 

また自分がいなくても同じ方向性が継続する組織つくりに主眼をおいている点は、マネジメントのやり方の一つとして参考になる。

ポイントは全ての成功体験は今の時代に当てはまるとしていないという危機感を持っていること。

変化に対応できるものが勝者。生物の進化論の格言が読み取れる。

 

<目次>

以下の方々との講義や対談が掲載。

鈴木大地、(スポーツ庁長官)スポーツ基本計画が示す日本の未来

為末大世界陸上男子400mハードル銅メダリスト)アスリートのキャリアとスポーツベンチャー

大河正明(Bリーグチェアマン)バスケットボールとアリーナの可能性

島田慎二(株式会社千葉ジェッツふなばし代表取締役社長)チームを再建し、人を呼ぶ方法

田嶋幸三日本サッカー協会会長)「育成日本」復活の真意とは

井上康生シドニー五輪柔道男子100kg級金メダリスト)日本柔道はなぜ復活できたのか

齋藤精一(株式会社ライゾマティクス代表取締役)スポーツとエンターテインメント、テクノロジーの幸福な関係

岩渕健輔(公益財団法人日本ラグビーフットボール協会理事)2019年、そしてその先のラグビーのために

上野裕一(一般社団法人ジャパンエスアール会長)サンウルブズ、スーパーラグビー参入までの道

ジム・スモール(MLB JAPANヴァイスプレジデントアジアパシフィック)MLBのアジア戦略とWBC

 

 

【書籍】「米国共産党調書 外務省アメリカ局第一課作成」江崎道朗 編訳

「米国共産党調書 外務省アメリカ局第一課作成」江崎道朗 編訳

 

<所感>

米国共産党がどのような層への工作を重視していたかを、戦前の外務省がまとめたレポート。

日本のインテリジェンスの高さが伺い知れる内容である一方で、その内容を活用できなかったということも浮き彫りになる。

 

ルーズベルト政権にいたソ連のスパイと米国共産党員は「意図的に」日米対立を作り出した。このルーズベルト政権の反日政策に反発し反米政策をとったのが近衛内閣。

しかしこの反米政策は、見事にスターリンのアジア共産化工作に加担した。

 

毎年、先の大戦を振り返る8月。

いつまでも「戦争は悲惨、だから平和を」という思考停止の振り返りでよいのだろうか。

続々と機密文章の研究が進んでいる。

そんな中で判明した歴史的事実をもとにした検証結果をもとにした振り返りが必要と感じる。

 

<目次>

第1章 - 沿革

第2章 - 概説

コミンテルンまたはソ連政府との関係/米国共産党当面の目標/具体的工作方法/米国共産党運動の限界/米国共産党の組織大要

第3章 - 共産党の組織および活動

米国共産党現勢/共産党入党手続きおよび党費分担/米国共産党の資金関係/各級地方支部/全国代表会議/全国委員会/政治委員会/執行委員会/全国統制委員会/米国共産党本部

【雑記】信越五岳トレイルランニングレース110kは中止に。

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振返り


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3週目末に参加予定だったトレランの大会「信越五岳110k」は中止が決定

 

大会は距離110km、累積標高4670mというもの。

今回の目標は「①完走、②できればタイムは20時間以内」だった。

 

エントリーをした73週目からトレッドミルで累積標高を意識したトレーニング開始。

目安は1000m/週(斜度10度で10km分走る=登り1000m

あとは低~中程度の負荷で動き続けることができることが狙い。

また一回のトレーニング時間は60分以内。

この条件で目標完遂のために準備を実施。

 

大会中止決定までは予定通りのメニューをこなせていた。

これでどんな結果となるか・・・検証は来年以降に持ち越しである。

 

【書籍】「誰があなたを護るのか」原作:青山繫晴、作画:ヒロカネプロダクション

「誰があなたを護るのか - 不安の時代の皇」原作:青山繫晴、作画:ヒロカネプロダクション

 

<所感>

かつて出張でアブダビにいったときにドライバーと話をした。彼が何人か忘れたが、イスラム教信者であった。

会話の中で暦や歴史の話になった。イスラム教国にはイスラム暦という独自の暦がある。西暦622年からスタートしている。なるほど。

ちなみに日本にも独自の暦がある。皇紀といって紀元前660年からスタート。つまり今は2600年以上。言い換えると日本の歴史は2000年以上ある。

こういうとめちゃめちゃ驚いていた。

しかし「なんでそんなに国の歴史が続いているのか?」。この質問には答えられなかった。

この本にはその答えがある。

 

そして女性天皇と同列に女系(母系)天皇を語ることへの違和感やその背後にある意図に気が付く。そんな本。

 

自国の歴史を学ぶことに右も左もない。

寧ろ世界がボーダレスになっている今こそ学ぶとき。

 

<目次>

裸の姿を見よ―前書きにかえて

プロローグ 天皇陛下って?

第1章 天皇陛下は何のためにいらっしゃるか

第2章 天皇陛下万世一系って何 前編 国産み

第3章 天皇陛下万世一系って何 後編 女性天皇女系天皇

第4章 旧宮家って何

エピローグ

『誰があなたを護るのか―不安の時代の皇』解説

あなたのこゝろへの手紙―後書きにかえて

【書籍】「世界最古の日本国憲法」三山 秀昭

「世界最古の日本国憲法」三山 秀昭

 

<所感>

端的に言って良書。

 

本書は政治家でもまして憲法学者でもない人が書いたという点でよい。

著者は元政治記者であるが、派閥記者が永田町記者でもない印象を受ける。

そのために、憲法はこうあるという「べき論」ではなく、事実が中心書かれている。

 

世の中に数多の学問があり、日本にも多くの分野で「学者」がいる。

それぞれの学問分野やその学者は尊重されるべきと思うが、唯一、日本の憲法学者の意義には疑問がある。

決して日本国憲法は一字一句全てが正しいという視点に立脚し、もしその解釈が実態と乖離があっても決して憲法に不備があるとは言わないということだ。

これは宗教学であれば神が創った教典を不変真理とするのは理解できる。

憲法は神が創造したのか?

 

憲法というと9条に着目される。これは非常に重要なのだが、憲法の改正手続について規定した96条の存在理由が尊重されないといけない。

(最も、憲法に尊重しなくてよい条文はないのだが…)

 

改正規定が定められているのに、改定の議論すらしない(させない)現状はそもそも憲法を蔑ろにするものであり、立憲主義でもなんでもない。

 

改憲、加憲、創憲等の憲法学者の言葉遊びは無視して、議論する。

この一歩のために、本書は読むべき価値がある。

 

個人的に天皇の国事行為を規定した7条の矛盾点*は初耳でためになった。

 

憲法では国事行為の4番目に「国会議員の総選挙の施行を公示すること」と規定されている。

しかし、参議院憲法46条において「…三年ごとに議員の半数を改選する」とあり、全ての議員が対象の選挙である「総選挙」は実施でず、矛盾が生じている。

 

 

<目次>

「世界最古の日本国憲法

戦後政治の“振り子現象”

ダブルのアクロバット・サーカスによる「政権交代

村山政権の歴史的解釈改憲

歴代政府、裁判所による解釈改憲の変遷

民進党憲法に対するスタンス

共産党による解釈改憲

公明党憲法解釈の変遷

堂々と改憲を唱える野党「おおさか維新の会」

憲法を添削、採点してみよう

憲法論議のうねり七波

いわゆる「巻き込まれ論」について

なぜ「世界最古の憲法」になり、「解釈改憲」が多いのか

では、どうする?

【所感】「実力も運のうち 能力主義は正義か?」マイケル・サンデル

「実力も運のうち 能力主義は正義か?」マイケル・サンデル

 

<所感>

「努力と才能で、人は誰でも成功できる」という能力主義メリトクラシー)。

一見その通りと思えるが、これは新しい階級制度となりうる。また能力主義の根底には「経済価値(稼ぎ)=その仕事の倫理価値」という認識が広まっているのが問題、と筆者は説く。

 

この本は答えのない問題を議論する哲学本。

答えが無いゆえに様々な視点でとにかく対象となる事象に切り込む。

切り込み方は細分化され、「~主義」「~思想」などの名称がつけられる。

とにかく答えはなんだ!と考えてしまうとこの手の本は読めない。

 

哲学の意義がそうであるように、どれだけ考えに考え抜くのか。

それを味合うことが本書の読み方と思う。

特に「学歴偏重主義は容認されている最後の偏見」という視点は面白い。

 

さて、能力主義の残酷な現実。それは一見平等に見えつつ経済格差が隠れていること。

例えばハーバード大学の学生の3分の2は所得規模が上位5分の1の仮定の出身だ。

しかし自分の努力のおかげでエリートの立場となった人は傲慢になる。

これは本当に平等な世界なのか?と筆者は語る。

 

著者はまず「能力主義によりエリートとなることができる今の環境に感謝を」という。

今現在の能力主義はあくまでも過去の人々が勝ち取ったもの。

現代社会なので能力主義の恩恵を受けられるんですよと。

 

これは言い方を変えると「謙虚になりましょう」と言えるのかもしれない。

しかし本書では「謙虚」という言葉は出てこなかった(少なくとも一読した限りでは)

どうしてだろう?この点が本書最大の疑問点。

 

<目次>

序論―入学すること

第1章 勝者と敗者

第2章 「偉大なのは善良だから」―能力の道徳の簡単な歴史

第3章 出世のレトリック

第4章 学歴偏重主義―何より受け入れがたい偏見

第5章 成功の倫理学

第6章 選別装置

第7章 労働を承認する

結論―能力と共通善