安全保障
「エネルギー」(上下)黒木亮 <所感> 2008年発刊。国際的な資源ビジネスの当時の最前線を書いた経済小説。 圧倒的な情報量と取材力、そこに自身の実務経験が加わった黒木ワールド全開。 主に3つのテーマをもとに小説は進む。 ・サハリンの巨大ガス田開発…
「モスクワよ、さらば―ココム違反事件の背景」熊谷独 <所感> ココム違反事件・・・1980年代に東芝機械ココム違反事件。ココム(対共産圏輸出統制委員会)の規則に違反した工作機械をソビエトに輸出した事件。 この工作機械によりソビエトの潜水艦技術が向…
「北朝鮮 1960 - 総連幹部・最初の告発」関貴星 <所感> 1960年代に北朝鮮への帰国運動が進められていた。そんな時代が始まる1960年に総連幹部だった著者が見た実態を書く。 帰国事業の大前提は、北朝鮮共和国(←当時はこれ)という新しい国を造るために同…
「アジアの隼」黒木亮 <所感> ベトナムの火力発電所の入札をめぐる金融戦争。 日本長期債権銀行のベトナム事務所駐在の主人公が必死になって入札案件を取りにまい進する。ある仕事にそこまで打ち込めるというのは、苦労はさておき、羨ましさを覚える。 本…
今更だが11/18が最終回となった DHCテレビの虎ノ門ニュース終了は残念だった。 既存メディアがタブーとしてきたことはどこかの誰かの意図の反映であったことがわかる。 その意味で保守系ではなく当たり前のことを当たり前に発信したメディアと言えた。 自分…
「私の1960年代」山本 義隆 <所感> 1990年の後半に駿台予備校 お茶の水校3号館で浪人時代を過ごした。 物理の講師はいつもシャツを古びれジーンズにタックインしている人だった。 その浪人時代の最後の授業のときその人はこういった。 「大学に入ったらあ…
「憲法学の病」篠田英朗 <所感> 良書中の良書。 問題の原因を都合の良い解釈をして論理(らしきもの)を展開し、自説を肯定するのは詭弁の論法の一つ(これはストローマン論法)であるが、これが日本の憲法学の大本にあることを丁寧に指摘し、説明している…
「中国共産党暗黒の百年史」石平 <所感> 百年史である。つまり古くてもたったの100年前。 随分と過去の歴史というよりもついさきほどの出来事。そして何よりも現在進行形なことも多い。 どちらが酷いかという比較論に決してなってはいけないが、ナチスのユ…
「知事失格―リニアを遅らせた川勝平太「命の水」の嘘」小林 一哉 <所感> 率直な感想は取材が綿密過ぎるなあ、という点。本当に丹念に取材されている。 そして本編。東京~大阪を67分で移動できるリニア中央新幹線という国家プロジェクト。 開通予定がどん…
「天安門ファイル―極秘記録から読み解く日本外交の「失敗」」城山英巳 <所感> 1989年6月4日の天安門事件の前夜とその後の日本の判断の考察のために、当時の外交官の極秘記録を丹念に振り返った本。 本書は日本の判断を批判するものではなく、どうしてその…
「自衛隊最高幹部が語る台湾有事」岩田 清文/武居 智久/尾上 定正/兼原 信克 <所感> 自衛隊の元最高幹部が台湾有事を想定して現実的なシミュレーションを実施。 映画「シン・ゴジラ」では日本の危機管理における意思決定プロセスの脆弱さがシニカルに表現…
「日本沈没を食い止めろ!硬直化した政治を変えるための改革」音喜多 駿、永江 一石、中谷 一馬、藤末 健三 <所感> 「政治を変える」「政治家を変える」と威勢のいい声を上げても何も変わらないと思っている人は多い。 現にそうかのかもしれないが、なぜか…
「中東問題再考」飯山陽 <所感> 日本のメディアや「専門家」の見識や解説がいかに偏っているかを鋭く指摘。 本書よりからの抜粋(意訳) イランの親日やトルコの親日は過去の歴史的事実に基づくノスタルジーであって、両国は親中が現在進行形。 親日要素が…
月刊Hanada2022年9月号「安倍晋三元総理 追悼大特集号」 いつもは赤色背景に白文字で雑誌名が書かれているが、本号は背景が黒色。 雑誌全体が喪に服している。なんとも悲しい。 特筆すべきは本書(雑誌なので本誌か)宛ての書かれた安倍総理の一文。 これは…
日本の政治史に残る政治家だった安倍元首相が帰らぬ人となった。 近年ではとても稀有な、そして確実に偉大な政治家だった。 それは各国の首相や元首からのお悔やみの言葉を見ても明らか。 あのとき日本のリーダーは世界のリーダーになっていた。 これから氏…
「なぜ女系天皇で日本が滅ぶのか」門田 隆将、竹田 恒泰 <所感> 題名の質問に一言で答えるならば「日本の国体が破壊されるから」だろう。 しかし、この答えがぱっと理解できない。 なぜならば我々は日本とはどんな国か?国体とは何か?を教えられていない…
「臓器収奪―消える人々 中国の生体臓器ビジネスと大量殺人、その漆黒の闇」ガットマン・イーサン <所感> 中国の生体臓器移植ビジネス。 その言葉以上にその中身は恐ろしい。何よりも隣国で現在進行形で行われている。 本書は「どのように臓器が収奪されて…
「アイヌ先住民族、その不都合な真実20(改訂増補版)」的場 光昭 <所感> 政治的イデオロギーが先行すると歴史の振り返りは結論ありきとなることがよくわかる。 特に日本にはある種のイデオロギーの結論はほぼ同じである。 「日本が悪かった。謝罪と賠償を…
「暗殺国家ロシア―消されたジャーナリストを追う」福田ますみ <所感> 日本では安倍政権をマスコミ(マスゴミ)やいわゆるリベラルの言論人が「アベ独裁」と評していた。 しかし、その台詞が言えることこそが言論の自由が保たれている一番の証である。 ロシ…
「日本、遥かなり エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」」門田隆将 <所感> 1890年、日本は和歌山県沖でトルコのエルトゥールル号の遭難を助けた。 それから125年後、1985年にテヘランが空爆された際に日本人を助けたのはあの遭難事故で恩義を感じ…
「EV推進の罠―「脱炭素」政策の嘘」加藤 康子/池田 直渡/岡崎 五朗 <所感> 日本の将来を考える上で必読の書。 EV=脱炭素の救世主という決めつけをロジカルに分析している。 着目すべきは以下の点。 ①脱炭素のための選択肢をEVとすることは危険。選択肢…
「フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔」高橋昌一郎 <所感> 世の中でみると「天才」の称号を持つ人は一定数いるだろう。 しかし「歴史上の天才」となればその数は減る。 さらに修飾語を付けて「議論の余地がないレベルで歴史上の天才」とすると何…
「アイヌ先住民族、その不都合な真実20(改訂増補版)」的場 光昭 <所感> 政治的イデオロギーが先行すると歴史の振り返りは結論ありきとなることがよくわかる。 特に日本にはある種のイデオロギーの結論はほぼ同じである。 「日本が悪かった。謝罪と賠償を…
1990年代初期、初めての海外旅行は父親と一緒にアメリカに。 中学生になる直前の春休みのことだった。 当時の写真はほぼ無い。 しかし断片的な思い出の一つが、NYのワールドトレードセンターの100階にあったレストランで食事をしたこと。 エレベーターを降り…
「米国共産党調書 外務省アメリカ局第一課作成」江崎道朗 編訳 <所感> 米国共産党がどのような層への工作を重視していたかを、戦前の外務省がまとめたレポート。 日本のインテリジェンスの高さが伺い知れる内容である一方で、その内容を活用できなかったと…
「世界最古の日本国憲法」三山 秀昭 <所感> 端的に言って良書。 本書は政治家でもまして憲法学者でもない人が書いたという点でよい。 著者は元政治記者であるが、派閥記者が永田町記者でもない印象を受ける。 そのために、憲法はこうあるという「べき論」…
テニスのウインブルドン。いよいよベスト4。あと3試合。 ベスト4のメンバーは最低でも身長185cm。 非接触競技だが170cm台の身長はかなりのハンデ。 身長178cmの錦織選手は凄い。 観客はほぼマスクを着けていない。 ところで、7月8日のデータ。 イギリスの新…
「グレート・インフルエンザ -ウイルスに立ち向かった科学者たち」(上・下) ジョン バリー <所感> 「スペイン風邪」の猛威と当時の科学者の奮闘があますところなく分かる本。 重要なことはこれは1918年の話。スペイン風邪の犠牲者を考察するとき、当時の…
「太平洋戦争 最後の証言(三部作)」門田隆将 第一部 零戦・特攻編 / 第二部 陸軍玉砕編 / 第三部 大和沈没編 <所感> 日本の歴史は「あの」戦争で戦前、戦後と分けられた。この犠牲者の多くは大正生まれだった。 徐々に大正生まれがいなくななり、当事者…
厚生労働省HPに2020年の人口動態統計月報年計が更新されていたので死因増減を比較してみた。 コロナは呼吸器系の感染症。 肺炎も呼吸器系の病気。 この点を踏まえてデータを見ると・・・。 防疫で大事なことはまず死者数を減らすこと。 そして本当の課題は何…