本書の内容は副題が全てである。これは物語ではなく、現実世界の話。
原題は「silent invasion」。インベーダーゲームのinvadeは「侵略する」「侵入する」の意味で、この名詞形がinvasion。気が付かないうちに、現代社会において国家が侵略する実況中継の本。
いや「気が付かない」というのは間違い。
正しくは「あたかも気が付いていないと情勢をつくって」ということ。
<本書メモ>
・オーストラリアのエリートが北京の支配下となった現実
理由は「服従」と「自己利益」のため。「中国の台頭は自明であり、オーストラリアの経済の運命は北京の手の中にある」という考え方に基づく。この時、民主制度、人権、法の秩序といった価値観はどうしたいかについては重要視していないことが前提。
・オーストラリアがやっていること
中国の資金の流入を受け入れ、自国の資産を売る。テクノロジーの海外流出に目を背ける。自国の政治システムに中国の工作員を雇い入れる。中国の人権侵害無視。基本的価値観を犠牲にする。
・中国企業の浸透例
オーストラリアのエネルギーインフラの電力・ガス網を少輔する利益団体の理事会の半分は北京の2社。
・社会統制のための顔認証システムの中国とアメリカの違い。
アメリカ→警察に全国民の半分の顔が記録されているが、権力へのチェック機能あり。データを不正使用すると告訴される。権力の分散があるので。
中国→権力の分散なし。政府(中国共産党)に権力集中。チェック機能なし、告訴なし。むしろ2017年成立の国家安全法で「法的に」あらゆる個人データにアクセス可能。
<アクション事項>
・日本ではどうだろうか?と考える。