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【書籍】「アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した~潜入・最低賃金労働の現場」ジェームズ・ブラッドワース

<メモ>

・左翼系ウエブサイトの元編集者の著者が労働現場での潜入ルポを通じて、二つの世界を描く。

二つの世界→中流階級の世界と、低賃金に代表される不安定な世界。

あくまで二つの世界の差を書くことが目的。声明文や政策提案が目的ではない。

潜入先は4つ。アマゾンの倉庫、訪問介護、コールセンター、ウーバー。

 

・著者の潜入ルについて、「本物の労働者階級の声ではない」という声があったのも事実。

しかし、本当の労働者階級の人は経済的に本や記事は書く余裕がない。

また中流階級以上の人々に知ってもらう必要がある。

そのために自分が潜入し、本を書いた。

 

・ゼロ時間契約:週当たりの労働時間が決まっていない雇用契約のこと。仕事を提供できない期間が発生しても、雇用者は仕事や賃金を与える義務を負わない契約。

→この契約の存在が「不安定な世界」を生み出した理由。

 

・誰でも中流階級になり消費者階級となることは理想。しかし、その場合は、現状の中流階級者がそうでなくことを意味する可能性もある。

 

<所感>

いずれの仕事も最低限の賃金・待遇の労働者によって成り立っていることが分かる内容。

しかしかといって全体主義がよいのか?その点は冷静に考える必要があると考える。

 

尚、著者はイギリスの左翼系メディア出身ではあるが、そのような短絡的な結論は出していないし、そもそも「概してイギリスは住みにくい国ではない」と言う。

 

本書で最も残念なのは、Amazonの倉庫がある田舎町を形容するための以下の表現。

これは受け入れられない表現である。

「‥‥大きな町や都市から、永遠にひどい扱いを受けつづける弟として存在するような町だった。…。たとえロンドンに原子爆弾が投下されたとしても、この町ではほとんど何も変わらずに物事が進んでいくに違いない」