「ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考」高橋祥子
<所感>
一言でいうとシンプルに良い本。
生命化学分野のPhDの経営者ならではの視点が満載。
生物学的見地に立脚し、人はどうあるべきか?という指摘が示唆に満ち溢れ、また多角的な視点を提供してくれる。
本書を貫く提言は「生物学的には思考停止はエネルギー効率化となる正しい省エネ行為。しかしそこに抗い、思考し行動することは人類の希望」という点。非効率に見える行為(=思考や行動)こそが大事だと。
特に印象的なトピック。
1.課題解決
課題解決には客観的な情報に加えて、主観的な要素も必要。
また課題解決を進めるには他社の巻き込みが必要であるので、課題の先にどんなストーリーを描くことができるかが重要。
2.多様性
「何が違うか」を注目する一方で「何が同じか」という同質性にも注目することが重要。
企業における多様性は、多様性を作ることを目的とせずに、ある目的を達成したという同質性をもったメンバーで、環境変化に対応する手段として多様性をもつことが本来の多様性。
つまり多様性といって企業が女性管理職の人数を増やすというのは目的の手段化に過ぎない、と、著者(女性)は言い切る。
3.人と比べる
人生の充実度に大事なのは生命変化(生まれてから死ぬまで)の間にどのような行動変化(個人の社会活動の変化)を起こしたか。あくまでも自分の時間軸でどうありたいか、どう過ごすかを決める。同じ年の人が活躍していたとしても、その人と自分の行動変化の時間軸は異なるので、比較することに意味はない。
<目次>
◎目次
第1章 生命に共通する原則とは何か ―客観的に捉える―
第2章 生命原則に抗い、自由に生きる ―主観を活かす―
第3章 一度きりの人生をどう生きるか ―個人への応用―
第4章 予測不能な未来へ向け組織を存続させるには ―経営・ビジネスへの応用―
第5章 生命としての人類はどう未来を生きるのか