「安いニッポン 「価格」が示す停滞」中藤玲
<所感>
結局のところデフレ。やっぱりデフレ。
1890年ごろ、夏目漱石が尋常中学の先生になったとき月給80円だった。
それから約120年後の平成31年度(2019年度)の中学教師の初任給は約20万円(地方公務員給与実態調査結果より)
この場合年平均成長率は6.2%。
一方、厚生労働所の調査によると所定内給与額は2000年30.06万円、2019年30.77万円。
年平均成長率は0.12%。とういうかほぼ横ばい。
2000年以降に社会人になった失われた20年世代の賃金は増えていない。
(もっというと税金は増えているので実質賃金は低下)
すっかり日本人は低所得となった。
賃金が低ければ有能な人材は会社に集めることができず、その結果、日本の国力は低下する。
また、土地や技術(会社そのもの)も、豊富な資金をもつ外資に買われてしまい、この意味でも国力は低下する。
この流れと実態を理解すると、「じゃあどのような対策を講じるか」という観点になってしかるべき。
しかし実際はこの実態がさらに進むようにとしか思えない政策がとられている。
(ちなみに賃金をあげる=最低賃金をあげるのは短絡的方策であり、間違い)
今日本で起きている実態。その根底にあるのはやっぱりデフレ。
失われた20年は30年となりつつある。これが40年、50年となるのか。
いやそのころにはもはや失うものがない状態になっているのではないだろうか。
<目次>
第1章 ディズニーもダイソーも世界最安値水準――物価の安い国
第2章 年収1400万円は「低所得」?――人材の安い国
第4章 安いニッポンの未来――コロナ後の世界はどうなるか