「アイヌ先住民族、その不都合な真実20(改訂増補版)」的場 光昭
<所感>
政治的イデオロギーが先行すると歴史の振り返りは結論ありきとなることがよくわかる。
特に日本にはある種のイデオロギーの結論はほぼ同じである。
「日本が悪かった。謝罪と賠償を」
具体的な事例は従軍慰安婦、朝鮮人強制連行の虚構の左翼運動で見られる。
このイデオロギーは「少数者は弱者→弱者は差別される→よって被害者」というロジックから成る。
アイヌ史においても同様のイデオロギーが働いて今、果実が実りつつある。
その実態にメスを入れた本。もっと読まれてほしい本。
特に「その8:先住民族に関する国連宣言」の章では「琉球人の自己決定権を認めろ」とのこれまだ日本を分断する運動と構造は瓜二つ。
このような主張ができるのは日本の言論の自由の賜物とは言えるが、嘘はいけない。
左翼イデオロギー運動を止めることができるかは純粋に史実に向かいあることがスタートであるゴールである。
アイヌは弱者であり、差別の対象だった。そんな理想や幻想を持つ方には砂沢クラ(明治30年生まれのアイヌ女性)が自分が書き溜めた日記などをもとに書いた一代記「クスクップ オルシペ私の一代の話」に書かれた以下の文章をどうぞ。
(抜粋)
私は、これまで何度か「アイヌ」と言われていじめられましたが、いじわるをする人はどういうわけか教育もろくに受けられず、下働きのような仕事をさせられている人たちばかりでした。…学校の先生とか医者など教育を受けた人、もののわかった人は、私たちアイヌを本当の日本人として尊敬してくれました。山の中で働いている営林署の人、発電所の人、炭鉱の人も少しも威張らず、私たちを大事にしてくれました。
(抜粋終わり)
<目次>
その1:コシャマインの乱
その2:シャクシャインの乱
その3:子供たちの東京強制移住
その6:北海道旧土人保護法
その7:アイヌは平等社会?
その8:先住民族に関する国連宣言
その13:知里真志保
その14:喜多章明
その15:バチェラー八重子の詩
その16:砂沢クラさんの本
その17:チェーホフ、ブッセ、ゴロウニン
その18:ホーレス・ケプロン
その20:イデオロギーの自己膨張的拡大