「爆速成長マネジメント」イラッド・ギル
<所感>
グーグル、ツイッターを急成長させた有名起業家の著者がこれまら著名な起業家にインタビューを行い、急成長企業の経営や新規事業創出について具体的な戦術を指南する本。
基本的にスタートアップ企業の視点で書かれており、一般的な社会人には不要と感じる部分も多い。
それでも経営者視点の参考になり、なにより複数の方へのインタビュー形式でどこからでも読みやすい。
印象的な内容
①イントロダクション
全体予算の何%を研究開発費をしているということより、誰が担当しているかが重要。
プロダクトを発明できる人や実際に開発できる人が何人いるか、それが重要。
②第6章 マーケティングと広報
社内コミュニケーションで重要なのか以下のような指針を示すこと
・社員は、ネット上で自社のことをどうやって伝えるべきか
・会社での体験をどう説明するか
・会社の否定的な意見にはどう対応するか
③第5章 爆速成長期の組織構造
人材採用においては共通の価値観と目的を持つ人を採用することが望ましい。
そのためには会社の軸となる価値観や文化を明確にすることが必要。
④第7章 プロダクトマネジメント
プロジェクトマネージャーはプロダクトマネージャーではない。
プロジェクトマネージャー→スケジュールを組み、予定通りに物事を進める
プロダクトマネージャー→開発の優先順位つける、より大きな戦略を考える
(優先順位はトレードオフそのものよりも、トレードオフを判断するフレームワークが重要)
③の件、ともすると昨今は「多様性」という言葉の元、性別・人種等を幅広くするという主張になりがちである。
本書でもジョエル・エマーソンはその考えに近く、「多様性は十分条件ではなく必要条件」と述べている。
ただし多様性は共有の価値観の上に成り立つものであるはずで、それが目的となるのは本末転倒。
その意味で会社の価値観や文化を明確にし、しっかり共有化することの必要性が非常に高いと理解することができる。
<目次>
著者からのメッセージ
プロダクト・マーケットフィットの次を考える マーク・アンドリーセン(アンドリーセン・ホロウィッツ創業者兼ゼネラルパートナー)に聞く
第1章 CEOの役割
意思決定と幹部マネジメント クレア・ヒューズ・ジョンソン(ストライプCOO)に聞く
第2章 取締役会のマネジメント
取締役/CEOの交代とガバナンスの重要課題 リード・ホフマン(リンクトイン共同創業者、グレイロックパートナーズのパートナー)に聞く
第1部 取締役会のマネジメント バール・ラビカント(エンジェルリスト会長兼共同創業者)に聞く
第3章 人材の募集、採用、マネジメント
CEOの成長痛 サム・アルトマン(Yコンビネーター社長)に聞く
第4章 経営チームをつくる
第1部 経営幹部の採用、マネジメント、解雇 キース・ラボワ(コースラ・ベンチャーズ パートナー)に聞く
COOを雇うこと アーロン・レビィ(ボックスCEO兼共同創業者兼会長)に聞く
スケーリングは人数のことではない マリアム・ナフィシー(ミンテッド創業者兼CEO)に聞く
第5章 爆速成長期の組織構造
ウルフを呼ぶ:組織の穴を埋める「ギャップフィラー」という仕事 ルチ・サンビ(ドロップボックス元オペレーション担当役員)に聞く
文化は委任できない パトリック・コリソン(ストライプ共同創業者)に聞く
多様性は十分条件ではなく必要条件 ジョエル・エマーソン(パラダイム創業者兼CEO)に聞く
第6章 マーケティングと広報
嵐を乗り切るマーケティングと広報部隊をつくる シャノン・スタボ・ブレイトン(リンクトイン最高マーケティング責任者)に聞く
本当に必要な広報チームのつくり方 エリン・フォース(カットライン・コミュニケーションズ共同創業者)に聞く
第7章 プロダクトマネジメント
第8章 資金調達と企業評価額
第2部 株式公開する理由 キース・ラボワ(コースラ・ベンチャーズ パートナー)に聞く
第2部 レイターステージの資金調達をハックする ナバール・ラビカント(エンジェルリスト会長兼共同創業者)に聞く
第9章 M&A
ユーザーと世界のために、責任を持ってスケールする ヘマント・タネジャ(アドバンスト・エネルギー・エコノミー共同創業者)に聞く
付録 やらない方がいいこと