「日本、遥かなり エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」」門田隆将
<所感>
1890年、日本は和歌山県沖でトルコのエルトゥールル号の遭難を助けた。
それから125年後、1985年にテヘランが空爆された際に日本人を助けたのはあの遭難事故で恩義を感じたトルコだったー。
本書はトルコの親日国ぶりを示しただけの本ではない。
日本人が海外で危機に直面した際の日本国としての課題を浮き彫りにしたものである。
その課題とは「日本には海外で自国民の生命を守る」ことができないということ。
1953年テヘラン空爆、1990年イラク軍クエート進行、1994年イエメン内戦・・・。
いずれも日本は、諸外国ならば当たり前の「自国民の救出」ができなかった。
理由は憲法9条と一部の人間による軍事行動への異常な嫌悪感。
2015年に在外邦人救出すべく自衛隊法が改正となったが、実行のために「戦闘地域ではないこと」や「当該国の同意があること」などが条件となっている。
戦闘地域だから救出が必要なのだが・・・。
嫌悪感をしめす人間はマスコミ、日弁連や一部野党。
彼らが意味不明に口に出す「戦争法案」「憲法反対」「徴兵制」というワード。
このワードを使った発言には要注意である。
諸外国が当たり前にできることが自国ではできない。
何かと国際化が叫ばれるが、この点を理解することこそが第一歩と思う。
そしてそれぞれの争乱に巻き込まれた在外邦人(ほとんどが商社の人。そして資源関連会社の人)の苦労がしのばれる。そしてそこで気が付いた自国の限界をもっと訴えて欲しい。
令和になってもまだまだ何も変わっていない現実があるのだから。
<目次>
第1部 海と空の恩義
第2部「命」は守られるのか