「スターリン 家族の肖像」福田ますみ
<所感>
20世紀はもちろん人類史上でトップクラスの独裁者のスターリン。
その家族(妻、子、孫)に焦点を当て、何人かには直接インタビューを行いスターリンの素顔に迫っている。
ソ連という社会主義の国の独裁者の家族とあれば、きっと特権階級を甘受したのだろうと思うがそうではない。
スターリンは孫にも非情であり、家庭環境はとにかく特殊という一言に尽きる。
家族はソ連崩壊後に徐々に口を開くようになり、インタビューも可能になったという。
スターリンの粛清の犠牲者は数百万人とも1000万人とも言われている。
その凶暴さ、冷酷さ、残酷さはヒトラーと遜色ない(そもそも比較するものではないがけど)。
しかしヒトラーが絶対悪とみなされている一方、スターリンは今でもロシア社会で崇拝されている。
この違いは何か?それは戦争への勝敗である。
ヒトラーは欧米との戦争に敗れたが、スターリンは勝者となりソ連を世界の大国にした。
勝者のとなったことで大粛清も国際的な裁きを受けていないことが理由である。
こう考えると今のウクライナ侵攻、プーチンは勝つためにどんな手も使うだろう。
忘れていけないのはそんな国が日本の隣国という事実。
その事実に対してどうするか?そう考えさせられる一冊。
<目次>
序章 独裁者の一族
第1章 妻の悲劇
第2章 子供たちの運命
第3章 嫌悪と称賛と
第4章 嫁の逮捕
第5章 巨星墜つ
第6章 フルシチョフ秘密報告の衝撃
第7章 亡命―永遠の虜囚
終章 祖国喪失