「臓器収奪―消える人々 中国の生体臓器ビジネスと大量殺人、その漆黒の闇」ガットマン・イーサン
<所感>
中国の生体臓器移植ビジネス。
その言葉以上にその中身は恐ろしい。何よりも隣国で現在進行形で行われている。
本書は「どのように臓器が収奪されているか」とともに「なぜ臓器が収奪されたか」を丹念な取材に追求している。その記載があまりに淡々としている。
生存者や関係者のインタビューは一見同じような話が繰り返される印象を受ける。
それはその発言や体験が実態であることの裏返しであろう。
ただしどうしても「どのように」の部分が印象的である。
無理矢理、強制収容所に連れてこられた多くの、本当に多くの法輪功やウイグル人はとにかく血液検査をうけ、臓器収奪。死んだ人間の臓器は質が悪い。では、どうやって臓器を収奪するか。それがどのようにの回答だ。
原書のタイトルはslaughter、意味は「家畜を解体処理する」であり「人を虐殺する」。
これ以上、実態を表現するタイトルがあるのだろうか?
そして、そんな国が隣国として存在する場合は何をすべきだろうか?
<目次>
第1章 新疆での試み
第2章 平穏な王国
第3章 府右街で起こったこと
第4章 雪
第5章 龍山での出来事
第6章 極寒の大海で
第7章 電波ジャック
第8章 名前のない身体
第9章 国家の臓器
第10章 博物館での一夜