「ロケット・ササキ - ―ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正」大西康之
<所感>
ジョブズ亡き今、孫正義の生みの親と評することができる日本の偉人。早川電機(現:シャープ)出身。
本書を通じて伝わってくるのは佐々木氏の圧倒的な行動力。
人と人をつなげるカタリスト(触媒)としての能力がとにかく優れている。
そのために日本の半導体産業がサムスンに大打撃を受けることになるが、人のつながりにより新しい世界を作り出す「共創」を体現し続けた日本人がいたことは後世に語り継ぐべきだろう。
そして佐々木氏が退いたあとのシャープの顛末(液晶TVへの過度な投資)は周知の通り。
どんなに大きな組織もリーダーによってどうとでもなることがわかる。
ちなみに1988年時点でシャープの研究員がいわゆるipadの着想を得ていた。
しかし一塊の技術者の声は経営陣に届かない。
これは日本のメーカーのおける技術者の待遇格差を見事に表現した事例と言える。
<目次>
プロローグ 孫正義の「大恩人」、スティーブ・ジョブズの「師」
第1章 台湾というコスモポリス
第2章 「殺人電波」を開発せよ
第3章 アメリカで学んだ「共創」
第4章 早川電機への転身
第5章 「ロケット・ササキ」の誕生
第6章 電卓戦争と電子立国への道
第7章 未来を創った男
エピローグ 独占に一利なし