「本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式」石井光太
<所感>
貧困者の根っこにあるものは自己否定感。
ただし自己否定感は裕福な家庭でも生まれることで、いかに自己否定感を無くすことがポイントと述べられている。
その場合、一人ひとりへの支援はどうしても私的(プライベート)な支援になるが、これは国ではなくNPOなどの民間によって行われる。国の政策では届かないから。
・・・と、ここまではよい。
ところで本書は単行本が2019年9月初版。そして文庫版は2022年11月初版。
今回は文庫版を読んだものだが、23年5月現在、そんなNPO団体における公金不正の疑いがいくつも発掘されている。
一方で、本書はそんな疑いのある団体のひとつであるBONDプロジェクトを具体的NPO団体として評価している。
著者はこの疑いの点をどう思っているのかだろうか?その点が非常に気になる。
どうても引っかかるのは福祉制度の闇として貧困ビジネスについても述べている箇所で、貧困ビジネスを行うのは暴力団と決めつけてその問題点を深堀している点だ。
貧困ビジネスを行うのは暴力団だけなのか。NPO団体でもそのようなところはないのか?
是非とも著者の見解を伺いたいものだ。
<目次>
第1講 すぐそこにある貧困
第2講 途上国のスラムで生きる
第3講 底辺に落ちた子供たち
第4講 学校じゃ教えないセックスの話
第5講 貧困と少年犯罪
第6講 格差を越えて、未来をつくる