「西東三鬼 全句集」西東 三鬼
<所感>
松尾芭蕉ならば「古池や蛙飛びこむ水の音」に相当するものは、西東三鬼なら「水枕ガバリと寒い海がある」である。
しかし句集に目を通すと、何か心に引っ掛かるものが見つかる。
何かふと足もとの石ころが気になるように。
これが句集の楽しみの一つだろう。
「滑走路黄なり冬海につきあたり」
「あきかぜの草よりひくく白き塔」
「働かぬ日に馴れ南京豆を煎る」
どうも自分は荒涼とした寂寞とした風景や無為に過ぎ去る日々を想起させる情景が好きらしい。
ところで正直、五七五の17文字がひたすらに印刷された句集に目を通すことはしんどい。
これは単に鑑賞力が無いからだろうが。。
しかし、本書は自句自解が付記されているため、作者の気持ちをストレートに感じることができる読みやすい句集となっている。
視覚的にも読みやすいのは初心者にはありがたい。
<目次>
旗
空港(『現代俳句』)
夜の桃
今日
変身
『変身』以後
拾遺