「滅私」羽田圭介
<所感>
ミニマリストの主人公の淡白な人間関係と過去の愚行からの暗い影を書いた小説。
序盤のミニマリストへの傾倒具合はなかなかのもの。
モノを減らすことのメリットはわかるが、ミニマリスト仲間の子持ちの女性が家族にもミニマリスを強制。
そのために息子が家という空間に楽しさを感じておらず、工作物もすぐに捨てられるという吐露が生々しい。
なんでも自分の信念に強制が入るともはや宗教になる。
(ヴィーガンもそのような側面がある気がする)
中盤からは主人公の自業自得である悪業が作品のスパイスとなっている。
モノは捨てることはできても過去は捨てることはできない。された側は、特に。
そういうこと。
まあ、意識しないとモノは増える一方なので意識的に断捨離はしないとな。