「どうで死ぬ身の一踊り」西村賢太
<所感>
大正期の作家(藤澤清造)を病的に愛する主人公(著者)の生活、それは貧しさと酒とDVによって構成される。
女に手を出しながら、復縁を懇願し土下座をする。しかしまた手を上げる。
自堕落の極みと言える生活を書いた私小説だ。
本作の空間には昭和ロマンが漂うが、著者が1967年生まれなので平成が舞台である。
平成はそんな時代だったのかと時空の歪みを錯覚させるのはどうしてだろう。
あまりに自堕落な男の物語で胸糞悪くなり、読むのをやめるのも本作の読み方の一つともいえる。
そんな54歳と若くして亡くなった芥川賞受賞作家の作品である。
印象に残った一文↓
…ただ宗派のことは、寺の門前に来て生まれて初めて知った。浄土真宗であったらしい。日本人の血液で云うところのA型のようなものだ。