星新一YAセレクション「死体ばんざい」
<所感>
ショートショートの創設者と言える星新一作品の凄さは普遍性だと思う。
作品内には限りなく時事を盛りまず、30年前の作品であっても今書かれたようで、時代の違和感が限りなく少ない。
もし電話ボックスやFAXなんて出てくると時代を感じる。
もっともテレビやラジオが今後も今の形であるとは限らないが。
また登場人物の名前もエヌ氏やアール氏という無味乾燥さが素晴らしい。
イニシャルっぽさを感じさせない表記に感服。
本作ではタイトルとなっている「死体ばんざい」が秀逸。
死体をめぐる悲喜こもごもが見事に折り重なっている。
幾多の経糸横糸を数ぺージで織りなす筆力。
これぞショートショート。
<作品>
影絵
ある休日の午後
来訪者たち
才能
こころよい人生
想像のなか
なにかの縁
あれ
ひとつのタブー
品種改良
勝負
死体ばんざい