「踊れ始祖鳥」くろだたけし
短歌集。
身の回り半径5mの世界を素朴な言葉で切り出している。
五七五七七のリズムのキャッチコピーのようであり、そうでないような。
日常の中にある景色が心に何故かぼんやりと突き刺さる。時に不安を伴って。
世の中からそんな切り出しができる人が歌人というものか。
気に入った6選。
生きている者が死ぬのを待っている土はそういう役割だから
寝る前と同じ様子でテーブルにじっとしていた鍵とリモコン
この道がどこへ続く道ならばどうして誰も来なかったのか
熱すぎたお茶がほどよくなるまでを何かのために使わずに待つ
未来へと走る列車に阻まれて長く開かない踏み切りを待つ
どれくらい言葉を信じていただろうあなたの声は好きだったけど
なお、本書のタイトルは以下の短歌から。
なんてユーモアがあるんだ。
踊っているところを石にされちゃって始祖鳥なんて呼ばれています