「ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと」マイケル・クローリー
<所感>
フルマラソン2時間20分というトップアスリート並みのランナーである文化人類学の大学の准教授がエチオピアランナーと一緒にトレーニングをしたフィールドワークの記録。
なぜエチオピアランナーは速いのか?
その解を求める調査手法は、民族研究の発達した手法である「エスノグラフィー」そのものである。
特定地域のランナー(特にマラソン)の速さを謎を探った忠鉢信一著「ケニア!彼らはなぜ速いのか」は生物学的な視点が主。
しかし本書は民族研究の発達した手法であるエスノグラフィー(体験型調査)を通じて探っている。
結局なぜ速いのか?
エチオピア人(またはケニア人)は幼少期から昔から遠くの学校にいくために走る必要があったから?
そんなステレオタイプの理由ではない。
著者の体験によれば理由は複合的でこのようなものらしい。
リズムとタイミングの感覚をつけることを重視している。
トレーニングチームに速い人いれば、自分も速く走ることができると信じ込むことができる。
“計画的”の事例としてペース走の誤差は1秒以内というものもある。イメージと違うなあ。
まさにエスノグラフィーの賜物でランナーでなくてもスポーツ好きならば興味がわく内容。
ちなみにスポーツの中でもエンデュランス系のエスノグラフィーという点では八田益之著「覚醒せよ、わが身体。─トライアスリートのエスノグラフィー」は良書。
<目次>
割愛