「年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活」小林美希
<所感>
著者は2000年が新卒の年。一般的に1993年~2005年卒が氷河期世代と言われるが、2000年は大卒の就職率は60%未満という氷河期中の氷河期の年。
そんな著者が2022年の発刊時に40歳前後の氷河期世代の年収の現状上げてその理由を語る。
本書によると、年収低下の一番の理由は派遣労働の緩和という。
そしてこれからは格差解消法があってもいいのではとも語る。
ツッコミどころが満載。
年収低下の理由には派遣労働の緩和もあるだろうが、さらに本質はデフレだろう。
本書ではデフレのデの字にも言及がない。
また、年収低下の取り組み事例として富山県のUIJターン就職をあげている。
この富山の前提はそこに働く場所(特にニッチだが尖ったメーカー)があること。
だとすると円高の下で日本のメーカーの工場が海外に流出したことも、年収低下の理由になるだろう。
そして格差解消法。
そもそも格差があることが問題ではなく、本書は年収低下を問題視しているはずだ。
「格差がなくて年収が下がること」と「格差があって年収が上がること」のどちらが大事と考えているだろうか。
以上、氷河期世代の一人しての感想である。
<目次>
第1部 平均年収でもつらいよ
第2部 平均年収以下はもっとつらいよ
第3部 この30年、日本社会に何が起きたのか?