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【書籍】「ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち」J.D.ヴァンス

<メモ>

1)ヒルビリーとは?

直訳すると「田舎者」。

その意味するところは、「アメリカ人の中の労働者階級の白人で、アメリカの繁栄から取り残された白人」

 

2)著者の経歴と本書の目的

ヒルビリーであるアパラチア出身で現在は投資会社社長というアメリカンドリームを成し遂げた人。母親は薬物依存であり実の父親とは離婚。その後、母親は「父親」をとっかえひっかえという家庭で育つ。

この本は問題を抱えて生まれた人たちが、自分たちの問題をどう感じているか伝えるもの。

 

3)転機

①祖母との生活

母親から離れ、高校生活は祖母と二人暮らしを開始。これが人生の転機。

帰宅の合図となる授業終了のベルに怖がることがなくないという幸せな日々。

ヒルビリーの世界で育つと「自分はどうしようもない」という感覚が植えつけられる。

しかし、祖母はその感覚に屈しないように著者に自信を与える。

海兵隊~大学

高校卒業後は海兵隊に。ここでは強い意志を学び、やればできるという自信を得てオハイオ州立大学に。海兵隊イラク戦場に赴いた経験をもつ著者は、クラスメートのイラク戦争への偏見に満ちた発言にショックを受けて、できるだけ早く大学を卒業したいと考える。ハードワークをこなした結果、入学から1年11か月(!)で、ダブルメジャー(選考がふたつ)かつ最優秀の成績で卒業し、イエェール大学ロースクール

③イェール大学ロースクール

エリートの称号を得る。例えば、一流の法律事務所への入社面接では学力や知識よりもただ社交性が見られる。これは、そもそも面接ができることが、もうエリートであり高いハードルの前提条件がクリアされているから。

これもたった1年間イェール大学ロースクールに過ごしただけの効果。

 

4)成功の条件

ヒルビリーのような出身地域によって成功の可能性が大きく異なる。

それは母子・父子家庭の割合が高いこと、ほかの地域と比べて収入が低い事。

この条件がそろうと貧困は代々伝わる伝統となる。

 

5)筆者の思い

ヒルビリーの問題の解決策、例えば公共政策、政府の革新的な施策…そのような魔法はないと語る。

ただし安定した家庭と広い世界を知ることがそのヒントであると語る。

 

<所感>

日本でもはここまでの地域に起因する貧困の継承はないだろう。ただし、地域的に可能性の大小があるであるとは感じている。

その差が大きくならないうちに何をすべきか、まず自分には何ができるかを問いたい。

短絡的に政府や社会を批判することほど簡単なものはないので。

 

<アクションプラン>

家族に「ありがとう」を伝える。