「宇宙を解く唯一の科学熱力学」ポール・セン
<所感>
理系の高校生または大学の学部1回生の副読本として推奨したい科学史の本。
とにかく、サイモン・シンの「宇宙創成」に通じる面白さ。
とにかく科学史という分野はもっと評価されて欲しい。学問の点と点が線につながる。
大学1回生の化学系の授業で「宇宙に存在するエネルギーの量は一定。そして、宇宙のエントロピーは増大する」と言われた。
熱力学の第一法則と第二法則のことだ。
古典熱力学はこの2つの法則で事足りる。熱力学は単純!…とはならない。
しかし熱力学はその概念だけでも理解すると視座が上がる学問である思う。特に現代社会には不可欠な分野の一つだろう。
昨今、気候変動(*温暖化ではない)における発電方法の議論がさかんである。
政治的イデオロギー、感情的な考え、経済合理性における判断の前にまず理性的な議論が必要なはずだ。
そのためには熱力学の基本的知識は必須となる。
なぜならば、エネルギーは最後はすべて熱になるのだから。
<目次>
第1部 エネルギーとエントロピーの発見
第2部 古典熱力学(第8章 熱は運動である、とか)
第3部 熱力学のさまざまな帰結(第16章 情報は物理的である、とか)