「資本主義の再構築―公正で持続可能な世界をどう実現するか」レベッカ・ヘンダーソン
<所感>
資本主義は格差の元凶。ついては格差是正して平等な社会実現のためには資本主義から脱却して、共産主義や社会主義に。
本書は決してそんな内容ではない。(そんなロジックが成り立つ世界もあるだろうが)
ここでは資本主義がもたらす問題の主因は「企業が株主価値の最大化を唯一の義務とすること」としている。
この起点から資本主義の再構築のステップとして本書が掲げるステップは次の5段階
→1)共有価値の創造、2)目的・存在意義主導型の組織を構築する、3)金融回路の見直し、4)協力体制を作る、5)社会の仕組みを創り変えて、政府を立て直す
ビジネスパーソンとしては特に2に注目したい。
どんな小さなチームであっても目的・存在意義の再定義はエネルギーを必要として、決断には非難されるリスクが伴う。
ただし、目的志向の組織をつくろうとする、それ自体が共有価値を生み出す行為であるとのことで、そこに希望を感じる。
その希望のためにはまずは1)の提起、そして行動。
どんなことも最初の一歩が肝心。
<目次>
第1章 「事実が変われば、考えを変えます。あなたはどうされますか」―株主価値は過去の考え
第2章 「資本主義を再構築する」実践―世界で最も重要な対話へようこそ
第3章 資本主義の再構築には経済合理性がある―リスク低減、需要拡大、コスト削減
第4章 深く根ざした共通の価値観―企業の目的・存在意義に革命を起こす
第5章 金融の回路を見直す―長期重視の考え方を定着させる
第6章 板挟みのなかで―協力し合うことを学ぶ
第7章 豊かさと自由の源泉を守る―市場、政治、資本主義の未来
第8章 変化という雪崩のなかの小石―世界を変えるための自分なりの道を見つける