「差別は思いやりでは解決しない ―ジェンダーやLGBTQから考える」神谷 悠一
<所感>
タイトルは「ジェンダーの差別は思いやりで解決しないのはなぜか?」との問いのことである
そして本書ではこの問いへの解決策として「LGBT差別禁止法案(仮称)」を提言している。
ここで感じる違和感は「差別」という文言だ。
このような法案ができると何もかもが「差別」と評させそうな懸念がぬぐえない。
著者は差別に認定されるにはハードルがあるので大丈夫としているが、そうなのだろうか。
この法律を盾に誰かが「この人(組織)は差別をしている!」と言い拡散されると既成事実になるだろう。
そのようなリスクを無視しながら、一方の権利を主張するようにしか見えない。
なによりも権利を主張する際には、その主張により侵害される権利がないのか。
この視点を踏まえないと課題解決に向けた前進は難しいのはないかと感じる。
<目次>
第1章 ジェンダー課題における「思いやり」の限界
第2章 LGBTQ課題における「思いやり」の落とし穴
第3章 「女性」vs.「トランスジェンダー」という虚構
第4章 ジェンダー課題における制度と実践
第5章 LGBTQ課題における制度と実践