「北朝鮮 1960 - 総連幹部・最初の告発」関貴星
<所感>
1960年代に北朝鮮への帰国運動が進められていた。そんな時代が始まる1960年に総連幹部だった著者が見た実態を書く。
帰国事業の大前提は、北朝鮮共和国(←当時はこれ)という新しい国を造るために同胞の力が必要ということで、社会主義は天国のようなところ、幸せしかない。帰国は身一つでよい、必要なものは全て与えられる。総連や朝日新聞はそんな触れ込みをしていた。
しかし実態は話が違うレベルではない真逆だった。筆舌できないような生活レベル。
集団生活の場に行き、洗濯干し場に行っても何もない。理由は誰も替えの服を持っていないからだ。
著者は自分がしていたことが虚構に基づくものだったことに気がつき、この告発に行った。
何が真実か、その虚構は誰にとって都合がいいのか。
その答えは21世紀の今の日本にも存在する現在進行形の現実と言えるだろう。