<所感>
気が付けば全身の大半をユニクロを着用して過ごす日々。
コロナ禍の影響を最小限にしつつ海外を中心に業績拡大を続けるユニクロ(正確にはファーストリテイリング社)。
しかしその成長支える実態は過酷な人件費圧縮である。
(もちろんウイグル人強制労働への関与疑惑もあるが、ここでは割愛)
鎌田慧の「自動車絶望工場」の彷彿とさせる著者が潜入取材をした渾身のルポタージュにより、実態を暴いている。
社長&会長の柳井氏は「ホワイトに近いグレー企業」と評しているが、これがブラックではなければなんなのだろうか。
また、今や時価総額9兆円弱の巨大企業のユニクロだが、2021年2月現在、大株主にはトップの柳井氏をはじめ柳井家4人が合計31.8%の株を所有する。
ここまでの同族経営がはびこる巨大企業はなかなかない。
そのせいで、誰もブラックを指摘できない。もちろん潤沢な広告費が提供されるマスコミも。
柳井氏はサービス残業の禁止や店舗作業量の提言を謳う。
しかし、以下の実態を踏まえると、その信憑性を感じることはできない。
・人件費率 2015年13.7%→2019年13.2%
・役員報酬額 10億円→20億円
また、柳井家4人の保有株は合計3391万株。2020年の配当金見込みは合計163億円。
さて、これからどこの服をメインに着ようか…。
<目次>
序 章 突きつけられた解雇通知
第一章 柳井正社長からの〝招待状
第二章 潜入取材のはじまり
イオンモール幕張新都心店1(二〇一五年十月~十一月)
第三章 現場からの悲鳴
イオンモール幕張新都心店2(二〇一五年十二月~二〇一六年五月)
第四章 会社は誰のものか
第六章 カンボジア〝ブラック告発〟現地取材
第七章 ビックロブルース
ビックロ新宿東口店(二〇一六年十月~十二月)
終 章 柳井正社長への〝潜入の勧め〟