「ものと人間の文化史102 箸(はし)」向井由紀子
<所感>
箸の文化的側面をまとめた本。
日本の文化はそのルーツが海の向こうにあったとしても、その後、昇華されて別モノものとなった事例は多い。箸はその好例だろう。
箸はそもそも神器であり神事に神様が使う道具でだった(正月に使用する祝い箸はその名残)
また箸は一度使うと使った人の霊が宿るとされてその食事一回限りのものであった、またその霊に災いが降りかからないように箸は折って捨てた(割り箸を折るのはその名残)
またフォークやスプーンといった他の食事道具と箸が最も異なるのは、家庭内でも箸は誰々用と決まっていることだろう。
(フォークやスプーンでもあるのかもしれないが、自分の経験ではない。もちよん幼児・子供用は除く)
これはそれこそ上記の霊が宿るという神事に紐づいたものであると想定される。
ちなみに本書は「ものと人間の文化史」というシリーズのひとつ。
本シリーズには他に「酒」「かるた」「井戸」「網」「瓦」など200近くの項目がある。
身近なものに文化は宿る。
<内容>
そのルーツを中国,朝鮮半島に探るとともに,日本人の食生活に不可欠の食具となり,日本文化のシンボルとされるまでに洗練された箸の文化の変遷を総合的に描く。