「失くした「言葉」を取り戻すまで - 脳梗塞で左脳の1/4が壊れた私」清水ちなみ
<所感>
脳梗塞により左脳の1/4が壊死した著者が麻痺や失語症と闘いながらまたエッセイストに戻るまでの道を書いたノンフィクション。
本人のポジティブ力と努力に加えて、家族の支えや医療関係者の支えがあってそうなったのだろうが、何よりも運があったことを感じる。
人体における脳の役割はまだまだ未知のことが多い。
そんな中、確実に言えるのは脳へのダメージの影響は大きすぎるということだろう。
そしていつその時が来るかは誰にもわからない。
またその時に備えて何かできるかもわからない。
そう考えると今、普通に話すことができて、聴くことができて、見ることができて、動くことができる。
それは自分の脳がしっかりと機能している証であり、尊いことであるとの認識に繋がる。
なお、脳へのダメージ関連でいえば、下山進「アルツハイマー征服」は秀逸な一冊。
エッセイとしては本書は読みやすいが、本格的ノンフィクションとしてはこちらのほうがお薦め。
<目次>
序章 くも膜下出血
第1章 手術
第2章 集中治療室
第3章 一般病棟
第4章 リハビリテーション病院
第5章 スペシャルセラピスト
第6章 私のサリバン先生
終章 十年が過ぎて