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【書籍】「未来を生きるための 読解力の強化書」佐藤優

「未来を生きるための 読解力の強化書」佐藤優

 

<所感>

本書のいう読解力とは「相手を正しく理解し、適切に対応する力」のこと。

そしてこの読解力を身に着けるためには名作と呼ばれる小説を読み解くことが重要という。

第一ステップは要約、第二ステップは行間を読むこと。

小説が多用する直喩、暗喩、類似を踏まえていかに行間を読み解釈するか。これがポイント。

このために著者は名作の精読を推奨し、本書ではその実例として中学生の特別講義が掲載されている。

 

確かに文学作品を読むという行為は得てして娯楽の一環にすぎないとみなされることが多い。

自分の中でもその位置づけがあったことは否定できない。

その中で何度も読むものに耐えうる作品は古典文学になるだろう。

 

なお、実例で取り上げられている作品は三浦綾子の「塩狩峠

10代のころに一度だけ読んだことがあるが、本書の特別講義のように、精読し佐藤氏による解釈の深堀はとても興味深い。このような読み方を指南される経験が中学生時代にあるというのは貴重な経験だろう。通常授業として取り入れてもらいたいが、講師役はとても難易度が高いので非現実的化。

こういうのこそAIで解決できないものだろか。

 

気になった点。

塩狩峠の精読のなかでは佐藤氏の深堀や見解が多数提示され、その中で「北海道にはもとももアイヌの人たちが住んでいて、そこに和人は入ってきて彼ら土地を勝手に奪ってしまったこれは侵略」と言うコメントがある。

これはアイヌ民族先住民族とする決議は衆参両院で採択された見解であるが、不可解な点が多い決議でもある。

知の巨匠と呼ばれる佐藤氏ならでそのような不可解な点にも突っ込んで欲しいのだが、まあ、このコメントは佐藤氏ならではとも言える。

 

<目次>

第1章 人生は読解力で決まる

第2章 読解力とは行間を読む力

第3章 特別講義 小説を通して読解力を身につける

第4章 違和感を大事にする

第5章 未来を読み解く力