「日本の絶望ランキング集 - 世界で第何位?」大村大次郎
<所感>
実質的に世界一の資産大国・債権国ではあるが、少子高齢化が進み、格差が広がる日本の衰退を防ぐ方策はあるか?
とこれは本書の案内文。
本書にはデータが満載であり、そのデータは正しいのだろう。
しかし、データとその解釈はまた別ものでありその注意が必要。
重要なのはこの2点。
①そもそもそのデータは参考になりうるデータは?
②データの解釈には相関関係ではなく因果関係があるか?
例えばp116「日本は格差社会になったか?」の議論では、「相対的貧困率ワーストランキング」なるデータが用いられている。相対的貧困率とは国民の平均所得の半分以下の収入の人の比率のこと。
しかし全体を語るならば「平均」所得ではなく、所得の中央値と比較すべきだろう。
そしてそもそもジニ係数の変化をみるべき。
またp32では電気料金が高いのに電線地中化というインフラが進んでいないと述べられている。
電気料金は発電内容に依存するものだが、電気料金と電線の地中化にはどんな因果関係があるのか?
本書はあるデータに対して、どうするとロジカルな解釈が可能か思考するトレーニング本として活用したい。
<目次>
第1章 社会インフラは途上国並み
第2章 病院は多すぎ医者は少なすぎ…いびつな医療界
第3章 なぜ日本経済は中国に喰われたのか?
第4章 先進国で最悪の貧富の格差
第5章 世界最大の債権国
第6章 少子化問題は起こるべくして起こった