「僕は「脱北You Tuber」―北朝鮮から命がけで日本に来た男」キム・ヨセフ
<所感>
北朝鮮から脱北して日本に住む著者。
実際の北朝鮮の暮らしや日本人拉致事件についてどう思っているか‥と思い目を通したが印象的な点は2つ。
①「日本の精神文化の概念の「和」は調和や秩序を重んじる。これは集団主義的で社会主義思想と似ている。」
この視点には驚いた。
日本人から見ると北朝鮮は最悪の独裁国家のひとつだ。しかし北朝鮮に生まれて暮らすと、その環境が当たり前と感じる。
ただし前者は気が付けばあったもの、後者は人工的かつ作為的に作られたもの。
よって全くの別ものと言えるはずだ。
②「北朝鮮は朝鮮戦争休戦後に、韓国とアメリカ同盟国へのけん制のために恐怖政治と独裁体制が強化された」
ただし韓国の背後にアメリカがいるというのならば、北の背後には中国がいることは明白だろう。
この点の言及がない点が不思議である。
加えると、そもそも北朝鮮の初代最高指導者の金日成はソ連が作り上げたと言われることを踏まえると、背後にいるものはマルクス・レーニン主義と言うべきかもしれないが。
<目次>
第1章 僕の経験した北朝鮮での23年間(10歳で路上生活になった僕;小学校での思い出 ほか)
第2章 祖父母との別れ(はじめて見た北朝鮮以外の国;知らない男たちがやってきた ほか)
第3章 二度目の脱北(ついに足を踏み入れた中国の地;12年ぶり、父との再会 ほか)
第4章 韓国、そして日本(韓国ドラマにあった光景そのもの;お金の使い道がわからない ほか)
第5章 脱北して得たもの自由と新しい家族(今改めて考える北朝鮮という国;特殊な権力構造 ほか)