<所感>
外国人と暮らすことについて、著者は同化主義と多文化主義の2軸で論じ、後者の立場をとる。
そして日本が外国人を受け入れる際に、郷に入っては郷に従えと言えるのかと問題提起の姿をした反対論をとり、・習慣の違いが偏見を生む。だから外国人の習慣を理解しましょうという。
特にイスラム教の国に対して。
しかしそこには不思議なことに相互主義の観点が無い。
逆に、日本人がイスラム教の国に行って、イスラム教の教義に反することをしてもそれは受け入れられるのだろうか。
その考察が無いままで、受け入れられる側の日本にのみ問題があり改善が必要と語る主張にとても疑問が残る。
あと日本には国民皆保険制度があるから、外国労働者が、それと同じ条件で医療が受けられないのは「絶対に許されない」というが、国民皆保険制度は文字通り日本国籍を有する日本国民のための制度。
もしその外国人労働者の国で同じような制度があり、日本人もその国の人と同じ条件でその制度を使えて初めて議論すべき内容。
そうでなければ民間の医療保険に入ればよいだけの話だ。
何故かやけに日本のみへの他責思考の展開が続く。
著者紹介によれば著者の専門は多文化共生論、現代イスラーム地域研究、西洋とイスラームの相関文明論。
ふーん。
<目次>
第1章 外国人労働者ってどんな人? 移民とどこがちがうの?
第2章 難民ってどんな人?
第3章 移民と難民はどこがちがうの?
第4章 日本はどうやって外国人労働者を受け入れるの?
第5章 世界に学ぶ移民、外国人労働者問題
第6章 一〇〇万人のジャーニー・オブ・ホープ
第7章 日本は難民を受け入れてきたのか?
第8章 外国人と仲良くなろう