「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない」ラス・ハリス
<所感>
「マインドフルネス」も包含したACT(Acceptance and commitment therapy、アクト)という療法の本。目的は幸福になるため。ここでの幸福は「意味のある人生」の意。
幸福を追求するというと怪しげな宗教チックになるが、言い換えると生きるに値するための人生を創造するための方法論が書かれている。
1)ACTの考え
ACTできることは多い。ストレスと不安の軽減、自己破壊的習慣をやめるなど。
しかしそもそも、そんなネガティブな思考や感情を抑圧(コントロール)できれば問題ない。
ただし「抑圧」には多大なエネルギーが必要、長期的に効果が無くなる、無理をして生活の質を落とすという欠点がある。
よって、コントロールといっても抑圧はなく回避が大事という。
病気でいうと治療よりも予防のアプローチに似ている。
2)どうやって回避するか?
マインドフルネスに基づく価値判断をもち行動すること。
まずは思考する自分と観察する自分は異なるということを把握する。
特に事実と考えていた思考を客観視して、距離感を取り観察することは効果的な作戦のひとつ。
例 「私は失敗しそうだ」→「私は「私は失敗しそうだ」と思っている」
この事例の言語化方法は参考になる。
3)まとめ
ACTの行動原理は自分ができることを愚直に何度でもやってみることだと理解される。
本書にはマインドフルネスに基づく行動方法、また価値設定や目標設定方法が書かれてるが、英語の本にありがちな実例の記述が多くて冗長的。
第1部、第2部3~7章を読めば十分。(その内容が上記の1)と2))
<目次>
第1部 なぜ幸福の罠を仕掛けてしまったのか(幸福の罠を支える四つの神話;なぜ悪循環が生まれるのか)
第2部 あなたの内面世界を変える(六つの基本行動原則;心は偉大なストーリーテラー;思考は単なる物語である―脱フュージョン ほか)
第3部 生きるに値する人生を創造する(心の奥底で望んでいること―価値;価値を見つけるための質問;価値が見つからない時は ほか)