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【書籍】「カラ売り屋vs仮想通貨」黒木亮

「カラ売り屋vs仮想通貨」黒木亮

 

<所感>

ゴルゴ13を読めば世界情勢が分かると言われているが黒木亮作品を読めば経済やビジネスの動向がわかる。

自分の経験を踏まえても実ビジネスに近い内容で、業界の実態を知ることができる。

一言で言うと、純粋にためになる。

「排出権商人」や「トリプルA」といった長編作品はそんな黒木作品の良さを存分に堪能できる。

一方、本書のカラ売り屋シリーズは短編であり読みやすい。

 

カラ売り屋の「パンゲアカンパニー」がターゲット企業にカラ売りを仕掛ける

→最初は順調に株価が下がる。含み益発生。

→しかし状況が一転、株価回復。含み損発生。

→さらなる仕掛けを打って、株価暴落。含み益発生し、利確。

 

どれも基本はこの構成。

ワンパターンと言えばワンパターン。

ただし、「仮想通貨の闇」においては各局面の変化があまりに理解度がしきれず、逆に面白かった。

仮想通貨。聞いたことはあるが、よくわからない。

仮想通貨は何を生み出し、これからどうなるのか。

この作品でその一端を垣間見ることができる。

 

しかし、黒木先生、次は長編をお願いします!

 

<収録>

「仮想通貨の闇」…投資家のモデルは元ゾ○タウンのあの人。

「巨大航空会社」…どう見てもモデルはJAL

「電気自動車の風雲児」…主人公のモデルはテ○ラのあの人。

【書籍】「BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相」ジョン・キャリールー

「BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相」ジョン・キャリールー

 

<所感>

とにかくとにかくとにかく面白い。

血液検査ベンチャーバイオベンチャー「セレノス」。

それはスティージョブズにあこがれた女性創業者エリザベスが作り上げがたとてつもない砂上の楼閣。

一次は時価総額1兆円超え。エンロン以来の企業不正事件の真相である。

 

1.女性であること

セレノスが巨大化した理由は権力者や著名投資家に取り入るのがうまかったことだ。

その理由はカリスマ性かもしれないが、カリスマ性の大本は間違いなく「若い女性」であるからと印象を受けた。

男性が支配するテック業界に風穴を開ける女性起業家。

こんなにわかりやすいヒーローの登場の舞台は無い。

 

2.企業秘密と守秘義務

一滴の血液で何百種類の検査が可能。誰もが気になる技術的解決策をエリザベスは「企業秘密」の一言で片づけた。

マジックワードである。

またセレノスの企業体質や技術力に疑問を持って退職した従業員には徹底した守秘義務を順守させた。

守秘義務違反は徹底した法的訴求を行う。

この脅威がセレノスの事実の表面化の大きな障害となった。

企業秘密の保持はとても重要で、日本はそれがとても甘い(そもそもスパイ防止法が無い国だし)。

しかし秘密主義が暴走するとこんな事件になりうるという一つの興味深い事例と感じる。

 

3.化学工学

外から見るとキラ星のセラノスには多くの優秀な人材が入ってきた。

中でも化学工学の専攻者が多く感じた。

これは自分が学生時代に化学工学を専攻していたバイアスかかった印象である。

それはさておき学生時代は地味に感じた学問、化学工学。

しかしバイオや医学にも十分貢献できる学問。化工よ、もっと盛り上がれ!

 

<目次>

意義ある人生

糊付けロボット

アップルへの羨望

さらばスラム街

子ども時代の隣人

サニー

ドクターJ

ミニラボ

ウェルネス戦略

「シューメイカー中佐とは何者だ?

【書籍】「日本の神様の「家系図」」戸部民夫

「日本の神様の「家系図」」戸部民夫

 

<所感>

古事記」を中心に日本の神々の系譜がまとめられた本。

各章では①該当する神々に関する神話の概要、②神々の紹介、③神々が祀る代表的神社の紹介で構成される。

 

正直、概要だけを読むだけでも面白い。

しかし一番は巻末に地域別の神社一覧を見て近所や身近な神社を見つけ、その神社が祀る神々の紹介に目を通すとより楽しめる。

 

想像通りだが、出雲大社は別格。あとは伊勢神宮

例えば出雲大社造化三神(ぞうかのさんじん。全ての神々の始祖の神と二番目の神と三番目の神)が祀られている。

(もちろん他の神々も祀られている)

 

あと故郷の富山県雄山神社伊邪那岐命イザナギノミコト)*が祀っていることは初めて知った。

ご利益に応じて神社を選び祈願するのはもちろんあり。

でも地元や近所の神社が祀る神様の特徴を知るだけでも新しい発見があること間違いなし。

 

伊邪那美命イザナミノミコト)と男女一対の夫婦神。雄山神社が祀るのはあくまでも伊邪那岐命で、伊邪那美命は祀っていない。

 

<目次>

第1章 天地開闢の根源神たち

第2章 根源神の子と末裔たち

第3章 イザナギイザナミの二人で生んだ子どもたち

第4章 イザナミが生んだ子、イザナギが生んだ子

第5章 アマテラスの子と孫たち

第6章 アマテラスの末裔と親族たち

第7章 スサノオオオクニヌシ、それぞれの子と親族たち

【書籍】「同和と銀行 三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録」森功

「同和と銀行 三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録森功

 

<所感>

言葉:タブー

意味:ふれたり口に出したりしてはならないとされているもの。神聖または不浄な事物。

 

本来のタブーは主として神聖または不浄なものが対象。

しかしその他にも数多のタブーは存在する。その一つが同和。

このwordを使う際には非常にsensitiveにならざるを得えない。その結果、最初から触れないという選択肢が取られる。

これぞタブー。

 

本書は「部落解放同盟飛鳥支部長」という同和団体の幹部(小西氏)がタブーに基づく力をいかんなく発揮し、銀行を利用しまくるという話。

融資依頼の際には通常では考えられないスピードで決済など、とてつもない配慮がなされる。

ただし銀行は銀行で小西を裏社会との窓口に利用した側面もある。

 

しかそ小西の勢力範囲の広さには驚かされる。

裏社会はもちろんだが、建築・土木業界、政界、警察幹部、さらには国税当局にも小西の掌の上にいる。

特に税金対策における国税の「ご相談」結果は一般の納税者から見ると噴飯ものである。

 

読んでいると初めて大阪の街並みを見たときに感じた、異質さを思い出す。

道路の左右であまりに違う家並み。

侵入者を防ぐ要塞のような行政の建物。

夜になれば男性でも一人で歩きたくないと感じる道。

 

あの異質さの源流はの一つは間違いなく同和問題

その事例が本書に余すことなく書かれている。

 

<目次>

プロローグ

第1章 飛鳥会事件の深淵

第2章 経済成長期の裏側で

第3章 アングラ取引の隆盛

第4章 政財界との闇ネットワーク

第5章 企業用心棒として

第6章 華やかな舞台の楽屋裏

第7章 バブルの狂乱の末

第8章 どぶに捨てた八〇億円

エピローグ

【書籍】「東京大田区・弁当屋のすごい経営」菅原勇一郎

「日替わり弁当のみで年商70億円スタンフォード大学MBAの教材に 東京大田区弁当屋のすごい経営」菅原勇一郎

 

<所感>

都内でよく目にする日替わりの弁当「玉子屋」の話。

2018年11月発刊。

 

数字で見る玉子屋は恐ろしい。

1個450円、1種類、原価率53%、廃棄率0.1%。

配達数1997年で1日2万食、2018年(本書発刊時)では1日7万食!

 

20代の終わりの4年は平日の昼は玉子屋ばかり食べていた。

オフィスに届くからすぐに食べることができる。サクッと食べて昼寝。

昼はこんな風に過ごしていた。懐かしい。

 

本書は2代目社長が玉子屋の良さは改善しつつ、業容拡大を図るという内容。

とにかくポイントは「人」である。

 

まずは父親である先代の社長。息子にさっと事業を継承して自分は身を引く。自ら創業した会社にしがみつくことのない潔さ。

創業者が残ると「船頭多くして船山に上る」状態が発生しがちだが、見事に回避されている。

 

次は従業員。玉子屋の従業員は大半が地元の札付きの子。彼らを雇用し、能力主義の下で彼らは切磋琢磨する人間となる。尚、このような組織を形成のためには平等なシステムではなく、公平なシステムが必要と説かれている。

 

本書は2018年11月発刊。コロナ禍の前。

コロナ禍以降では都内は在宅ワークが進んでいるはずだ。

玉子屋の「オフィスに弁当を宅配する」というビジネスモデルにどんな影響がでているのだろうか。

一人の玉子屋ファンとしてとても気掛かりである。

 

<目次>

1章 中小企業の事業承継は先代が元気なうちに

2章 数字で語る玉子屋

3章 嫌いだった弁当屋を継いだ理由

4章 社員の心に火を灯せ

5章 玉子屋の未来

【書籍】「最強のスポーツビジネス」池田純

*本書は2017年度に「ナンバー・スポーツビジネス・カレッジ」第一期で行われた講義が抜粋・再構成されたもの。

 

<所感>

印象的なのは井上康生の章。 

「最強かつ最高選手の育成」という目的を掲げ、そのためには「柔よく剛を制す」ではなく「重剛一体」を掲げて技術と体力の両方に重きを置くという効果的な手段がと取られている点が印象深い。

とかく目的と手段は混合しがちである。

しかし今回の井上 柔道全日本男子監督における目的と手段の成果は東京五輪を見れば明らか。

 

また自分がいなくても同じ方向性が継続する組織つくりに主眼をおいている点は、マネジメントのやり方の一つとして参考になる。

ポイントは全ての成功体験は今の時代に当てはまるとしていないという危機感を持っていること。

変化に対応できるものが勝者。生物の進化論の格言が読み取れる。

 

<目次>

以下の方々との講義や対談が掲載。

鈴木大地、(スポーツ庁長官)スポーツ基本計画が示す日本の未来

為末大世界陸上男子400mハードル銅メダリスト)アスリートのキャリアとスポーツベンチャー

大河正明(Bリーグチェアマン)バスケットボールとアリーナの可能性

島田慎二(株式会社千葉ジェッツふなばし代表取締役社長)チームを再建し、人を呼ぶ方法

田嶋幸三日本サッカー協会会長)「育成日本」復活の真意とは

井上康生シドニー五輪柔道男子100kg級金メダリスト)日本柔道はなぜ復活できたのか

齋藤精一(株式会社ライゾマティクス代表取締役)スポーツとエンターテインメント、テクノロジーの幸福な関係

岩渕健輔(公益財団法人日本ラグビーフットボール協会理事)2019年、そしてその先のラグビーのために

上野裕一(一般社団法人ジャパンエスアール会長)サンウルブズ、スーパーラグビー参入までの道

ジム・スモール(MLB JAPANヴァイスプレジデントアジアパシフィック)MLBのアジア戦略とWBC

 

 

【書籍】「米国共産党調書 外務省アメリカ局第一課作成」江崎道朗 編訳

「米国共産党調書 外務省アメリカ局第一課作成」江崎道朗 編訳

 

<所感>

米国共産党がどのような層への工作を重視していたかを、戦前の外務省がまとめたレポート。

日本のインテリジェンスの高さが伺い知れる内容である一方で、その内容を活用できなかったということも浮き彫りになる。

 

ルーズベルト政権にいたソ連のスパイと米国共産党員は「意図的に」日米対立を作り出した。このルーズベルト政権の反日政策に反発し反米政策をとったのが近衛内閣。

しかしこの反米政策は、見事にスターリンのアジア共産化工作に加担した。

 

毎年、先の大戦を振り返る8月。

いつまでも「戦争は悲惨、だから平和を」という思考停止の振り返りでよいのだろうか。

続々と機密文章の研究が進んでいる。

そんな中で判明した歴史的事実をもとにした検証結果をもとにした振り返りが必要と感じる。

 

<目次>

第1章 - 沿革

第2章 - 概説

コミンテルンまたはソ連政府との関係/米国共産党当面の目標/具体的工作方法/米国共産党運動の限界/米国共産党の組織大要

第3章 - 共産党の組織および活動

米国共産党現勢/共産党入党手続きおよび党費分担/米国共産党の資金関係/各級地方支部/全国代表会議/全国委員会/政治委員会/執行委員会/全国統制委員会/米国共産党本部