<所感>
言葉:タブー
意味:ふれたり口に出したりしてはならないとされているもの。神聖または不浄な事物。
本来のタブーは主として神聖または不浄なものが対象。
しかしその他にも数多のタブーは存在する。その一つが同和。
このwordを使う際には非常にsensitiveにならざるを得えない。その結果、最初から触れないという選択肢が取られる。
これぞタブー。
本書は「部落解放同盟飛鳥支部長」という同和団体の幹部(小西氏)がタブーに基づく力をいかんなく発揮し、銀行を利用しまくるという話。
融資依頼の際には通常では考えられないスピードで決済など、とてつもない配慮がなされる。
ただし銀行は銀行で小西を裏社会との窓口に利用した側面もある。
しかそ小西の勢力範囲の広さには驚かされる。
裏社会はもちろんだが、建築・土木業界、政界、警察幹部、さらには国税当局にも小西の掌の上にいる。
特に税金対策における国税の「ご相談」結果は一般の納税者から見ると噴飯ものである。
読んでいると初めて大阪の街並みを見たときに感じた、異質さを思い出す。
道路の左右であまりに違う家並み。
侵入者を防ぐ要塞のような行政の建物。
夜になれば男性でも一人で歩きたくないと感じる道。
あの異質さの源流はの一つは間違いなく同和問題。
その事例が本書に余すことなく書かれている。
<目次>
プロローグ
第1章 飛鳥会事件の深淵
第2章 経済成長期の裏側で
第3章 アングラ取引の隆盛
第4章 政財界との闇ネットワーク
第5章 企業用心棒として
第6章 華やかな舞台の楽屋裏
第7章 バブルの狂乱の末
第8章 どぶに捨てた八〇億円
エピローグ