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【書籍】「ランニング王国を生きる 」マイケル・クローリー

「ランニング王国を生きる  文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと」マイケル・クローリー

 

<所感>

フルマラソン2時間20分というトップアスリート並みのランナーである文化人類学の大学の准教授がエチオピアランナーと一緒にトレーニングをしたフィールドワークの記録。

なぜエチオピアランナーは速いのか?

その解を求める調査手法は、民族研究の発達した手法である「エスノグラフィー」そのものである。

 

特定地域のランナー(特にマラソン)の速さを謎を探った忠鉢信一著「ケニア!彼らはなぜ速いのか」は生物学的な視点が主。

しかし本書は民族研究の発達した手法であるエスノグラフィー(体験型調査)を通じて探っている。

 

結局なぜ速いのか?

エチオピア人(またはケニア人)は幼少期から昔から遠くの学校にいくために走る必要があったから?

そんなステレオタイプの理由ではない。

 

著者の体験によれば理由は複合的でこのようなものらしい。

エチオピア人のトレーニングはとても計画的。

リズムとタイミングの感覚をつけることを重視している。

レーニングチームに速い人いれば、自分も速く走ることができると信じ込むことができる。

 

“計画的”の事例としてペース走の誤差は1秒以内というものもある。イメージと違うなあ。

まさにエスノグラフィーの賜物でランナーでなくてもスポーツ好きならば興味がわく内容。

 

ちなみにスポーツの中でもエンデュランス系のエスノグラフィーという点では八田益之著「覚醒せよ、わが身体。─トライアスリートエスノグラフィー」は良書。

 

<目次>

割愛

【運動】シューズレビュー:ニューバランスFuel Cell Prism/Revel2とHOKAONEONE Carbon X-SPE

 

過去2年ほどで購入したランニングシューズのレビュー。

この2つのメーカーにしたのは足幅Dと自分にあっているから。

 

ニューバランス・Fuel Cell Prism

Fuel Cell (フューエルセル)とはミッドソールに使われている独自素材。

クッション性がありながら、反発性もあるという不思議な素材。

接地はフカフカ、しかしぐにゃぐにゃしすぎない。不思議。

6’00前後のペースで走るには最適。

サブフォー(5’40)ペースでも最適。

ただし5’00より速いペースになると接地のぐにゃぐにゃの感触が大きくなり安定性が下がる気がする。

 

ニューバランス・Fuel Cell Revel V2

Revel V2はRevelのアップデートモデル。

結論として自分にはとてもいいシューズ。

4’00~5’00ペースで走るには一番おすすめで、サブ3.5ランナーに最適。

でもサブ4からサブ3前後でも使える感じ。

接地はクッション性はあるが、とても反発を感る。快適。

4’00~5’00ペースでもPrismのようなぐにゃぐにゃ感がない。

次のマラソンレースで履きたい候補。

現在、実勢価格は7000円。異常に安い。もっと評価されてほしい。

 

③ホカオネオネ・Carbon X-SPE

一流選手を席捲するNIKEの厚底シューズにはカーボンファイバープレートが使用されている。

カーボンプレートの感触を感じたく、Hokaoneoneのカーボンプレート採用シューズのCarbon X-SPEを購入。

Carbon Xではなく、Carbon X-SPEにしたのはヒール部の安定性がよかったため。

ただし、自分の走り方のせいか、カーボンプレートの反発力はそこまで感じない。

また上記のPrismやRevel V2に比べると少し重い。ここが気になる。

しかし、カーボンプレートの効果なのか、ランニング後の足へのダメージが少ない。ジョグペースであればあるほど感じる。

今は、リカバリー目的で使用中。

定価27000円が今は16000円ぐらい。

 

まとめ:足幅Dであればサブ4~3の人にはFuel cell revel V2が最適。

 

 

 

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【書籍】「安いニッポン 「価格」が示す停滞」中藤玲

「安いニッポン 「価格」が示す停滞」中藤玲

 

<所感>

結局のところデフレ。やっぱりデフレ。

 

1890年ごろ、夏目漱石が尋常中学の先生になったとき月給80円だった。

それから約120年後の平成31年度(2019年度)の中学教師の初任給は約20万円(地方公務員給与実態調査結果より)

この場合年平均成長率は6.2%。

 

一方、厚生労働所の調査によると所定内給与額は2000年30.06万円、2019年30.77万円。

年平均成長率は0.12%。とういうかほぼ横ばい。

2000年以降に社会人になった失われた20年世代の賃金は増えていない。

(もっというと税金は増えているので実質賃金は低下)

すっかり日本人は低所得となった。

 

賃金が低ければ有能な人材は会社に集めることができず、その結果、日本の国力は低下する。

また、土地や技術(会社そのもの)も、豊富な資金をもつ外資に買われてしまい、この意味でも国力は低下する。

この流れと実態を理解すると、「じゃあどのような対策を講じるか」という観点になってしかるべき。

しかし実際はこの実態がさらに進むようにとしか思えない政策がとられている。

(ちなみに賃金をあげる=最低賃金をあげるのは短絡的方策であり、間違い)

 

今日本で起きている実態。その根底にあるのはやっぱりデフレ。

失われた20年は30年となりつつある。これが40年、50年となるのか。

いやそのころにはもはや失うものがない状態になっているのではないだろうか。

 

<目次>

第1章 ディズニーもダイソーも世界最安値水準――物価の安い国

第2章 年収1400万円は「低所得」?――人材の安い国

第3章 「買われる」ニッポンーー外資マネー流入の先に

第4章 安いニッポンの未来――コロナ後の世界はどうなるか

【書籍】「これはただの夏」燃え殻

「これはただの夏」燃え殻

 

<所感>

テレビ制作会社勤務の40代半ばの独身男性のある夏から秋の物語。

ちょっと風が吹いて落ち葉が舞う。そのくらいに虚無感があり、何より切ない。

夏の小説=青春といった10代や20代にありがちなキラキラ感はない。

40代とはそんな時期なのか。

 

何かが起こりそう、でもただの夏。本当にただの夏の出来事。

少しの間は思い出に残るだろうが、明日からまた始まる日々の日常に忙殺され忘れてしまうくらいの夏の出来事。

ときめきもワクワクもない。しかしなぜかそんな夏を体験したくなる。そんな小説。

 

印象的な個所をいくつか。

 

…四〇代半ばのいま、体はガタつき、感情のアップダウンは鈍麻し、ご臨終を迎えた心電図みたいに波打たなくなっていた。

 

…ここではない何処かへ。そんな夢を見られる年齢ではないことは、よくわかっている。ただ、…ここではない何処かへの逃避を夢見てしまう。年相応に考え方や身の振り方を変えていける人が信じられない。そういう人は羨ましいが、そういう人になりたくはない。

 

人々が楽しんでいる最中に「この祭りはもうすぐ終わってしまう。だって、こんなに楽しいんだから」と思ってしまう癖がある。淋しさの前借り、いや先取りをしてしまうのだ。

 

 

 

【書籍】「日本人が知らない「スーホーの白い馬」の真実」ミンガド・ボラグ

「日本人が知らない「スーホーの白い馬」の真実」ミンガド・ボラグ

 

<所感>

「中国の北のほう モンゴルには 広い草原がひろがっています」

スーホーの白い馬といえば自宅に絵本があった物語。出だしは今も覚えている。

記憶がないが教科書にも掲載されているらしい。

とにかくモンゴルが舞台の話としては抜群の知名度知名度があるだろう。

 

ただしその中身はモンゴル現地の文化、慣習と比較すると不自然な点*が多い。

*競技大会が開かれた目的、大会が開かれた時期、スーホが子馬と出会った時間帯など

どうしてか?

モンゴル出身の著者がその謎や真実を都市伝説的ではなく学術的に解き明かしている。

 

著者の調査によると「スーホーの白い馬」、そしてその原典の「馬頭琴」には当時の政治思想が深く影響して創作されたからという。

これは牧畜民の階級意識を高める思想教育のために使われたということである。

つまり共産主義のプロバガンダの産物の物語と結論付けられている。

 

この物語のせいだけではないだろうが、モンゴルに対するプロバガンダは成功しているようだ。

その結果、牧畜民を無視した「禁牧政策」などモンゴル民族文化をゆがめる事例が多発し、文化ジェノサイドが進行中という。

 

そうであるならば「スーホーの白い馬」の神髄は本当のモンゴル文化を知る契機となることだと思われる。

一方でこの物語の政策背景にはある特定の政治的イデオロギーがあること、および、これは文化侵略の一つの事例であることを忘れてはならない。

 

<目次>

第1章 「スーホの白い馬」が日本に伝わった背景

第2章 階級闘争的な中国の創作文学

第3章 プロパガンダにゆがめられた民族文化

第4章 「スーホの白い馬」が伝えるモンゴル文化

第5章 満洲国から中国へ、翻弄され続けるモンゴル民族

 

【書籍】「雲の上へ 6日間でエベレスト2度登頂の偉業への道」キリアン・ジョルネ

「雲の上へ 6日間でエベレスト2度登頂の偉業への道」キリアン・ジョルネ

 

<所感>

キリアン・ジョルネ。1987年生まれの史上最高の山岳ランナー(トレイルランナー)。

トレランにおけるキリアンは、バスケットボールにおけるジョーダンのような存在。

またSalomon(サロモン)におけるキリアンはNIKEにおけるジョーダンのような存在。

それくらいキリアンはスーパースターと思う。また30代前半にして既に生ける伝説。

ランナーとしては陸上でいうと100m走で優勝しながら、マラソンも優勝する。そんな選手。

 

キリアンは母国語がスペイン語であるので、なかなか情報が少ない。

(そもそもトレランがメジャースポーツではないし)

過去に「Run or Die」という自叙伝的な本が発刊されたが、正直本書を読めば十分。

それくらいに本書は読みごたえがあり、キリアンを知るに足る一冊。

 

印象的な内容をいくつか。

・トレーニング論

「いくつかの扉を開くためにはべつのいくつかを永遠に諦めなくてはいけない」

キリアンにとって一番大事なことは競技の結果よりも、自分が求める水準を保つためにトレーニングを継続するということ。

レーニング最優先のために、犠牲にしなくてはいけないこと(例:酒の席)は犠牲にするとはっきりさせている。

 

川内優輝

本書で唯一言及されている日本人であり、高レベルを保って年間20以上のレースに参加するランナーとして紹介されている。

キリアンは一時期、毎週のようにレースに参加し、ほぼすべてを優勝していた。それこそ負けることがニュースになるくらいに。

そんなキリアンが例に挙げるマラソンランナーが川内選手。(あとはキプチョゲ!)

 

・サロモン所属の立場

キリアンはSalomonと生涯契約をしているのかもしれない(単なる推測だが)

本書では珍しく「経済的に必要以上のものを手に入れた」と自分の経済状況に触れられている。

トレイルランナーでこのように言い切れる選手はキリアン以外にいるのだろうか?

 

このほか、ハードロック100・UTMB等のレースの思い出、人生の転換点となったネ

パール地震の体験。

トレラン愛好者はぜひとも一読を!

 

<目次>

別れ

レーニン

エベレストへの準備

山はぼくの故郷

夏のエベレスト

五〇〇枚以上のナンバーカード

秋のエベレスト

夢のパートナー

冬のエベレスト

ぼくを永遠に変えた出来事

春のエベレスト

【雑記】ワールドトレードセンターのレストラン

1990年代初期、初めての海外旅行は父親と一緒にアメリカに。

中学生になる直前の春休みのことだった。

当時の写真はほぼ無い。

しかし断片的な思い出の一つが、NYのワールドトレードセンターの100階にあったレストランで食事をしたこと。

エレベーターを降りてレストランまでのエントランスの雰囲気が大人っぽ過ぎたこと、と夜景が綺麗だったことを覚えている。

 

それから約20年後。大学生になり、友人宅に集まって前期試験の勉強会を実施。

典型的一夜漬けの試験勉強。

おそらく追試試験だったのかもしれない。

深夜。つけっぱなしのテレビに臨時ニュースが流れる。大きな事故が起きたようだ。

NYの大きなビルに飛行機が突っ込だとのこと。そしてまた一台の飛行機が。

リアルタイムのその映像はまるで映画のワンシーンのよう。

そのビルは、あのワールトレードセンター!

そしてそれは事故ではなくテロだった。

 

凄惨な出来事だった。当時はそれ以上の意味がわからなかったが、今となっては国際社会の転換点となったことは理解できる。

 

このようなテロが日本で起きうるのか?

起きた場合には何ができるのか?

既に違う形で既に起きている可能性はないか?

 

平和・安全・安心は獲得するものだ。